介護士の世界
2025.04.21

おはようございます。
「介護士のサリさんリタさん夜勤終え老人ホームに朝の陽が差す」(3.30中日歌壇)私の母がお世話になっている介護施設にも外国人の方がいらっしゃいます。その方はおそらくフィリピン出身だと思いますが、日本語も流暢でとても優しいです。「カリヨンの郷」にも同国の方がお見えですが、同じく優しく私にも気さくに挨拶をしてくださいます。フィリピンの方がなぜ高齢者に優しいのか調べてみました。
フィリピンは大家族で過ごされている家庭が多い。【もともと多くの兄弟姉妹の中で育った家庭の中の各世代は、大家族が当たり前のこととして育っている。まずその大前提があって、さらに出産開始年齢が非常に早い傾向にあるため<平均23.1歳(2008年)、日本は30.3歳(2012年)>おじいさん・おばあさんといってもまだ年齢は比較的若い。また他方年の離れた兄・姉は既にかなり成長しているので、幼児の面倒くらいは見ることができる。同居する親戚も多く、叔父叔母、いとこなどの子育ての担い手となる人材は複合家族の家の中に少なからずいる。それから、これはフィリピンの人々の大きな特徴だが、男性も家事・育児に関してあまり抵抗がない傾向が顕著にあるので、「手の空いている者がその時点の子育てを担う」というのが当たり前になっている。『日経クロスより抜粋』)
フィリピンには、伝統的に若者が高齢者を敬う習慣がある。フィリピンの子どもや若者は、年長の親戚に会う、“Mano po”と呼ばれる挨拶をすることが礼儀である。これは、年長者の右手を持って、自分の額にその手を当てる行為であり、年長者に対する深い敬意を表すものである。「高齢の親の世話は、子どもの責任である」。フィリピンでも、他の東南アジア諸国と同様に、このような規範が社会に根付いている。そのため、高齢者は家族とともに暮らすことが一般的である。『nippon.comより抜粋』】もちろん貧困も理由のひとつではありますが、育ててもらった恩や知恵ある人に対する尊敬の念を、幼い時から親が伝えている伝統的習慣が根付いていると考えられます。
日本の社会も元々はそのような家族の在り方だったと思うのですが、核家族化が進むことによって伝達が途切れ、また文明化によって人の「死」や「看病・介護」を「煩わしいこと」として眼をそむけるようになってしまっていることも大きな原因だと思います。人間同士の共生やバランスを失いつつある社会を、小さな取り組みから変えていく必要があると考えます。それは誰もが行きつく避けることができない成長から老いへの過程にすぎません。ですが「生きる」ことの貴さを感じる過程でもあるのです。数十年後には自らも歩むことを自覚し今を生きるべきです。
カテゴリ:福祉