お知らせ

子どもの何を育てるべきか!

2025.09.20







つくし組さんの発達は4人の個別性がとても強く現れています。つかまり立ち押し車歩き、ひたすら強く速く歩く、物(かばん)をもってバランスよく歩く、自由自在に難しい場所(1本橋)を歩く、4人4様で視ていて面白いです!

このような発達の個別性で必要となる支援は、つかまり立ちの段階に関しては転倒時に頭を打たないようにすること、つまりは安全確保、物を持ち歩く時も同じ目線が必要ですが、それは足腰の発達具合で変わります。安定して歩けるかは日頃様々な場面に対する歩行を観てキャッチしておく必要があるのです。だから一律な支援ではありません。よって大変です。

最大の初期発達における子ども自身の喜びは、視線や見えるものの見え方の変化です。寝返り、お座り、ハイハイ、つかまり立ち、だんだんと視界は高く広がり、「もっとみたい、さわりたい」といった欲求は高まりを見せます。この「こころ」の発達が身体使いをより活動的にしていくのです。

心と体の発達不一致が起きたとき、「ころぶ」等の事態が発生します。ですが転ぶことも学習機会ですので、今現在の身体能力や経験数で小さなケガで済むと判断できれば、むやみに助けることを避けることも必要となります。小さなケガを経験するからこそ大きなケガをしなくて済みます。

担任保育士に手をつないでもらい1本橋を渡っている様子は、おそらく本人が望んだ結果だと考えます。その判断(怖いから手をつないでもらう、もしくは自分で判断し止める)が、「今」の発達段階なのです。その姿がいずれ一人でも大丈夫と、落ちそうでも頑張る姿に変わっていきます。

このような判断に至るには、一人で挑んで平均台から落下し、「なんだ、あしでじめんをつかみ、ちょっとひざのクッションをつかえばだいじょうぶなのね!」といった経験を積み重ねることで、きっと早歩きで渡るほどの自信につながっていくと思います。

対照的にすべり台を滑り降りる姿は自信に満ち溢れています。保育園では室内でも、たぶんご家庭でもどこかでたくさん経験されているものと想像します。この経験の積み重ねの差異が、子どもの「ひとりで」または「てつだって」の判断材料になっていくものと考えられます。

そして新しく搬入した山砂(2トン車 2車分)、保育士との話し合いでも柔らかく、さらさらした感触は子どもたちの興味、関心、意欲を高め、結果砂場での集中時間が増していることが話題となりました。用意する環境の「質」が発達を促していることがよく分かります。丁度涼しくなるころを見計らい用意することが大切です。

子どもたちに用意されるべき環境、これは大人が考えていくことが必要です。それも個々の発達に見合った取り組み方を応援し、大人の思った通りの線路を行わせるような方法、内容ではなく、自発や挑戦意欲を自らの中に作り出していけるような成長を願ってでなければならないと考えます。

子ども自身の心と体が納得し腑に落ちてこそ、「自信」、「粘り強さ」、「立ち直りの心」が育っていきます。どんな技術や知識の教え込みよりも乳幼児期に身につけるべき力は、この様な力強い非認知能力(物事に対する姿勢や取り組み、他者との関係性構築の力)であることは、間違いなく今後の心身成長の土台となっていくのです。

カテゴリ:発達

発達をみつめるまなざし2!

2025.07.20



子どもたちの発達は「準備の期間」という捉え方があります。準備が整ったことを「レディネス(特定の状況に適応する準備が整う)」という心理学用語で表しています。

ただし発達は連続しているため、「さあここからは・・・」のように、はっきりと区切りをつけられるものではありませんね。だからおよその目安を意識しておき、もちろん誤差はありますが、子どもの動きや取り組みを観ていて、「まだこの子には早いね!」と評価、判断することによって遊びの提供内容を変えていくことも大切になってきます。

つくしさんですとハイハイやつかまり立ちはその目安となってきますが、あまり早く立つことに気持ちが移行してしまうと、気持ちに体がついていかず、大腿部の筋肉や部位の可動の質が上がらないうちに、二足歩行へと気持ちが偏りがちとなります。

抱っこしたときにしっかりと足に力が入り、挟み込みのような力を感じられるか、ぶら下がりは可能か、ハイハイはスピードを上げて進むか、膝をあげライオン(高這い)の姿勢で四つ這いで進めるか?このような動作をたくさん行ってきたかどうかが足腰の強さの目安でもあります。

あまりできなかったとしてもまだ十分間に合いますので、広々とした、凹凸のある床や地面、障害物などのある環境での「まてまてあそび」など信頼できるご家族が子どもたちを誘うことで、充分にそれらの動きは引き出せますのでお試しください。

子どもたち特に乳児期の3年間は、その時はよく分かりませんが、長い目で見ると学童期、青年期に影響を及ぼします。心理的には十分な欲求の満足を得て、身体的には欲求に応じた身体活動を十分に経験することで、「うまくいかなくても立ち直る心と身体の基礎、土台」を培う時代なのです。

乳児期の子どもたちは「何もできない存在」ではありません。この3年間で自分なりの猛スピードで、「発達しよう、発達したい!」と頑張っている時代であることをしっかりと見据え育てていきたいですね!幼くてもひとりの人格を備えた貴重な存在であることを私たち大人は再確認する必要があると思います。

カテゴリ:発達

発達をみつめるまなざし!

2025.07.20



先の発達(過ぎた発達)を行く子どもたちと過ごすことは、お互いへの心と体の良い発達に結びついています。毎日過ごす場所でないことだけでも、子どもたちにとっては刺激的な環境と言えます。

ブロック、新聞紙と玩具、ボールと保育室(すみれ)、ホール(広い場所)といった関係性の中で生まれるものは、いったいなんだろう?と年齢、発達差を考えていました。

昼礼(毎日行う打ち合わせ、報告、子どもの様子や発達の確認対話)で保育士に訊ねてみると、写真で想像するよりも現実的な話が聞けます。例えば「新聞が入ったビニール袋を持つ、つくし組の子」に関心があるかと思えば、実はその「袋そのものにだけ興味がある。」、「ボールの性質よりも扱う大人に興味がある。」といった現実に突き当たります。

異年齢の関りを期待する大人の目線で写真を見ていると、「こうあってほしい」といった独りよがりな大人の視方が先行してしまうこともあるのです。例えば子どもに必要以上の飾りつけをしたり、大人の趣味嗜好を押し付けたり、そんなことをしなくても子どもは「最もかわいらしい笑顔、しぐさ、笑い声」で十分に大人に愛らしさを伝えています。その様な視方とどこか似ていたなと反省します。

子どもたちの発達をどのように観ていくのか?「親の欲目」、「教師の願い」が、子ども心を惑わすことがないように気を付けていくべきだなと思い返します。子どもはひとり一人が個別的な人格を持ち、発達の道筋やスピードはもちろん異なることを改めて自覚しなければなりませんね!

言葉の発達、排泄習慣、食事、着脱など目に見える事実に関し、大人はついつい「せっかち」になってしまいます。でも子どもたちに「やらせよう」、しつこく「教化しよう」とすることは、結局は子どもの健やかな心と身体の成長を妨害する結果になる可能性があることは、理解しておかなければなりません。

最後の写真を見てください!子どもたちは縦横無尽に体を躍動させ、斜面やマットの柔らかさ、高さに挑む心の強さを発揮し、身体の巧緻性を獲得しています。わずか数年でこのような判断力と身体使いを習得できることこそ驚異的な発達だと思います。サバンナの生き物は必要性(強者に命を奪われないため)に迫られ、生まれてすぐ立ちあがりしばらくすると走れるようになります。

しかし人間は「知恵」を育てるためこの過程が非常に弱く時間をたっぷりと必要とするのです。その様なスパンで観ていくと、少しくらい習慣が出来なくても心配する必要はないと思います。それよりも今の発達で獲得している頭と身体の成長を、個々が十分に遊びを通して使い切れるような、考えと見方を巡らせ環境を与えていくことの方に力を注いでいくことが大切だと思います。思い切り心身を使った子は様々な習慣の「自立」、「自律」も速い傾向にあります。それは「意欲」、「欲求の満足」を十分に体験してきたからに他なりません。

カテゴリ:発達

もらう わたす喜び 素材の楽しさ不思議からの学び!

2025.06.29

altもらうことは うれしいこと そのきもちを こころにやきつけて・・・

今日のつくし組さんは、誕生会の「もらう渡すよろこび」、素材「水」の楽しさ、室内遊び「ころがる」が主なテーマですね!1日の中でもし家庭だけで生活していれば、今日のような環境が必ずしもあるとは限りません。このような意味においては、決してお子さまにとって一番大切な安心感である保護者様の存在に勝るものではありませんが、子ども本来の「あそびを通した成長」という観点から見ると、家庭で過ごすよりも刺激的で、子どもたちの力になっていると言えます。

たくさんの仲間の前で「プレゼント」をもらうことは、もちろん緊張を伴いますが、「嬉しさ」を皆で分かち合う(みんなに喜んでもらうという形だけでも)ことは、喜びや自覚も2倍以上い膨れ上がっていると思います。また、皆の前で「立つ」、「表現する(言葉動作)」ことは、恥ずかしい気持ちを乗り越え、心を強くしていくことに繋がっていきます。

ころがるものは世の中にたくさんありますが、ボールは四方八方にころがる可能性を秘めていること、ころがっている様子を目で追う喜びに満ちている対象であることなど、子どもたちにとってとても驚きの対象物であるはずです。円筒形の物はころがすこともできますが、一方向のみでそれよりも積みやすさの性質が興味の対象としては勝っていると思います。

このようにモノが持っている性質に働きかけていくことで、子どもたちは楽しさを通じて様々なことを学んでいるのです。「慣性の法則」、「バランス感覚」、「空気の弾む力」等々、きっと大きくなってから理科や化学、物理で知識として習うことを、実体験をもって心と体にしみ込ませているのだと考えます。

「お水」は素材としては、中でも可塑性(変化しやすい)に富む素材であるため、子どもたちの興味がとても大きいことは当たり前だと言えます。水に慣れ親しみその性質で十分に遊びこむことは、分量の把握や生活習慣への順応にも深く関連しています。思い切り触れさせてあげたい素材です。

このように子どもたちは1日の生活時間を集団で過ごすことによって、新たな学び、同じことの繰り返しによる身体や頭脳の成長を自分自身で行っているのです。0歳児から4歳手前までの大切な時期を、「今現在の精一杯」で過ごしていけるように、配慮していきたいと考えています。

カテゴリ:発達

育児の科学的目線!

2025.06.15



ほうきは掃除をする道具、タイヤは車を走らせる部品、円筒形のプラスティックは元は海苔の容器等、本来の役目とは異なる使い方を子どもたちは行います。

タイヤは丸くて転がる、積めば自分がすっぽり入る隠れ家に、横に並べればアスレチックやバランスを味わう遊具に、ほうきは地面をなぞれば砂模様を描き、時にはバットや刀に、海苔の容器は砂や葉っぱ、生きもの観察ケース、はたまたシジミ蝶を捕まえる道具へと変身するのです。

これらは大人がやることをまねる場合もありますが、自分自身の手足と頭を使い見つけた扱い方法です。どれも道具を手に取り、様々な作用を仕掛けることで、物の性質が明らかになり「おもしろい」といった、心の充足感へも繋がっていきます。だから物と素材の準備は大切だと思います。

人類が初めて小枝を手にした時、その葛藤は始まりました。知恵と工夫、何度もの試行錯誤、数々の失敗と成功を繰りかえすうちに、最も面白いまたは生活の役に立つものとして、固定した使用方法へと落ち着いていきます。

子どもたちはまさにその「人類の進化の過程」を体感しています。室内外の様々な遊具と比較してみてください。元々決まった使い方を狙ったものは、子どもたちの試行錯誤をどの程度引き出しているでしょうか?限定された目的をもって作られている物には自ずと広がりに限界があります。

よってあまりにも目的が明確なおもちゃは、すぐに飽きてしまったり、より強い動機が持続できるもの以外は使われなくなっていきます。何度やっても遊びたくなる強い動機を持てる遊具は、滑り台、ブランコなどがあげられます。「揺らぎ」と言われる浮遊感は何度体感しても気持ちが良いからです。

手先指先で遊ぶものは、遊びの汎用性が高く、素材自体に変化に富むといった性質があります。砂、土、泥、水、自然物などが典型です。ブロックなども知育玩具として様々な種類のものが販売されています。

もう少し大きくなったら名古屋市の科学館に行ってみてください。世界の木製玩具のコーナーがあり、多くの児童が群がっています。ネフスピール(ドイツ)、キュボロ(スイス)、パロ(イタリア)等世界のブロック、木製玩具も中々面白いです。

育児や保育にこのような「科学的目線」を持つことで、本当に子どもたちにとって必要な物や体験が見えてきます。

カテゴリ:発達

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