人間と道具
2025.05.25

道具使い 距離感 何度もやってみてわかっていく!
子どもたちの身体発達順序は「中心から末端へ」が定説です。大きい、早い等の運動のことを「粗大運動」と言います。「立つ」、「座る」、「歩く」、「走る」等の全身を使う運動のことを指しています。まずはこのような粗大運動を行っていくことがしっかりとした体幹、体力を作っていくために必要な活動です。
平行して指先などを使い繊細な動きで集中する活動を「微細運動」と言いますが、粗大、微細の両方が関わり合いながら、並行して伸びていけるように環境を配慮していかなければなりません。
室内での遊びはどちらかと言えば微細な運動が多いと言えます。絵本のページをめくる、電車、ブロック、お絵描き等細かなことに集中する力を使うことで細かな動きを獲得していきます。対して園庭では広いスペースの中に粗大な活動(走る、山登り、押し車、タイヤわたり、平均台・・・)も砂場や花摘み、落ち葉遊び等の微細な活動も含まれています。子どもたちにとっては外での活動がより広い選択肢を得られるため、大きなモチベ―ションを持ちやすいと言えます。
ただし興味があちこちに飛んでいってしまう環境ともいえるため、約束やルール理解が未熟な年齢では、かくれんぼ、おいかけっこ等を行っていても、興味有る物が目の前に現れると、今何をして遊んでいたかもどこかへ飛んで行ってしまうことが度々あります。自然なことですね!
子どもの生活はバランスが大切です。よって梅雨の時期など室内活動が多くなる季節は、室内でも可能な粗大運動を安全に行える環境とプログラムを用意する必要が出てきます。室内で子どもたちは力がありあまり、「走ってはいけません!」、「暴れないで!」とよく叱られるのは、いたしかたないとも言えます。粗大運動をたくさん欲求している体は止まることを知りません。これが成長しようとする子どもの自然な行動なのです。
だから大人は知恵を駆使しなければなりません。動静のバランスを考えた環境を用意しなければ、子どもたちの心と体は爆発することになります。学童期を越せば自分でコントロールが可能となってきます。それまでは大人が「叱られない環境」を作り、充分な満足感を得ることが出来る動静を準備し欲求を満たすことが出来る保育環境を提供していくことが大切です。
砂場で一所懸命にスコップ、しゃもじ、おさじ、海苔箱などを何度も持ち替えながら、試行錯誤している姿そのものが、微細運動を繰り返し今この瞬間にこそ「発達しようとしている姿」そのものなのです。ひとしきり砂場で遊べば、きっと今度は体を思い切り動かしに出かけていくはずです。その時に活躍する環境こそ、遊具、備品、自然園庭の豊かさと広さであることは確かです。タイヤ、平均台、椅子や道具小屋等の障害物、植物のある環境、虫がたくさんいる環境、起伏ある環境、視界を遮る角や影等の多様な仕掛けがあってこそ、子どもたちの心と体は踊り出します。
園庭は4月から1月までのほぼ毎日(火曜から木曜日)自由に遊んでいただけるように保護者様、地域の皆様にも開放しています。平日にお休みがありましたら是非ご利用ください。お子様のたくましい遊びっぷりをぜひ堪能してください。疲れた心と体を前向きな行動力で解消していきましょう!
子どもたちの遊ぶ姿は大人に力を与えてくれます。「わけわからんなー」ばかりでは決してありません。大人が楽しむ様子を見せれば、その何十倍もの喜びと一体感を感じさせてくれます。それが子どもの大いなる自然な力なのです。
カテゴリ:あそび
あそびいっぱい!
2025.03.01


今日は珍しいお客さん、いつもと変わらぬ遊び風景、友だちとのやり取り等、2歳児さんならではの楽しい場面がたくさん垣間見れました。日が高くなるにつけ気温も上がり、お外遊びがとても楽しい季節の到来です!
大きなトラックは2トン車?たくさんの保育教材、玩具(様々な素材のブロック)、用具(アスレチックや割れない鏡)、備品(ベビーカー・ベンチ)をめいっぱい積んで現れました。職員も一部の子どもたちも実際に遊んでみて楽しさを確かめてみます。JAKUETS(ジャクエツ)は本社が敦賀にあり、自社工場にて遊具や玩具を作っています。現場の声を聴き要望を新たな開発や既存の物の改良に活用しています。理念もしっかりしており、できればたくさん用品をそろえたいのですが、何分値が張るため少しづつ取り揃えています。
しかしどんな遊具も我が園庭には及ばないと自負しています。科学的な知見はとても大切なのですが、自然に近いものに勝るものは易々と見つけられるものではないのです。でも今後は温暖化の影響で空調が整えられた室内環境下での遊びも必要となってきます。私が知る限りでも室内で楽しく学びながら過ごせる場所が増えてきています。(つなぐの森【一宮】、おにクル【茨木市】等)子育てを楽しみながら送るという点においても現代には必要だと思います。
今日のベストフォトは「絵本を読んでもらうために、大好きな先生の周りに凝り固まる子どもたちの姿」、「2台の車にまたがる大胆な乗車」、「小さなタイヤから顔を覗かす、ライオンのようなかわいらしさ」、「一緒にの想いが産む、身体使い、滑稽さ」等です。子どもたちは先入観のない純粋な心で、遊びや仲間、物と共に時間を楽しく過ごしていきます。そんな当たり前のように繰り返される日常の中に、子どもたちの素敵な発見とおもしろさは実にたくさん詰まっています。
「観よう」、「感じよう」とする心を大人がほんの少し持つだけで、心の中の糧は大きく変わってきます。面白おかしく子どもたちの世界を観ていきましょう!一緒に笑い共に過ごすことで日々は輝いていきます。
カテゴリ:あそび
凧あげの力!
2025.01.14


凧揚げは毎年行う大切にしている遊びです。なぜ大切かと言いますと、子どもたちが全身と頭を使って取り組むことが出来る正月遊びだからです。幼児さんが凧揚げを行うと必ず「走る」がつきものです。しかし本当のところ凧は風に乗せ、止まって揚げるものです。飛行機のように飛ばすものではありません。でもこの年代はこの取り組みで良いと考えます。いえむしろこの過程があるからこそ「気付き」は生まれると言っても良いでしょう。
走って凧を揚げることは、本園のように立ち木や起伏、障害物が多いと、その位置が頭に入っていること、身体が記憶していなければうまく避けて走ることはできません。さらに時々揚る凧を振り返り確かめながら動くことは、小学生でも至難の業です。あえてこのような環境で行うことには、体のバランスや障害物の回避能力、予測する力を身につけてほしいという願いがあるからです。
当然転倒や衝突といったことによるケガのリスクもあります。大きなケガには注意が必要ですが、日頃から園庭で五感を鍛えている彼らにとって、大きな心配事にはなっていません。子どもたちはあえてその困難をクリアするためがんばります!背中に張り付いても、糸が首に絡んでも頑張って成し遂げようとしています。その頑張る「意欲」こそ今培うべき力だと言い切れます。
どのあそびも本人が「おもしろい」と感じる時こそ集中します!だから投げ出してしまうのはまだその面白さを体感していないからとも言えます。難しい課題でも少しだけ大人が「おもしろい」、「うまくできた」に導くことで、のめり込んでいく姿へと変わっていく場合もあります。遊び活動の子どもへの寄り添いは、あくまで子ども自身が自立していくための方法でなければならないと思います。大人が線路を敷きすぎると意欲が育ちません。
さらに自然は思った様にはなりません。凧の場合最後の写真のように、偶然凧の向きと風向きがマッチすることで気持ちよく揚がる場面に遭遇します。この感触を味わえば次はもっと高く、もっと遠くへといった希望が生まれます。それとなく大人が高く凧を揚げて見せ、希望を意欲へつなげていくことが大切です。
自分自身の手で成功体験を勝ち得てこそ、意欲はますます高まり自分自身に課題や目標を掲げ、自立したあそび生活を行えるように育っていきます。その力が生活習慣や将来の学びの粘り強さにつながっていることは言うまでもありません。
カテゴリ:あそび
あそびで育つ身体と心!
2024.12.22

なんだろう?

手には一杯の花梨

なるほど!一気に転がるたのしさを満喫!
あそびの中で使う指先、全身は使いこなすことで少しづつ発達が進んでいきます。それに伴い習慣の時間もかからなくなり、相乗効果を生んでいきます。生活習慣は目に見えることのため大人も神経質になりがちです。しかし、着脱、食事、睡眠、排泄などは遊びが豊かになり、器用さや巧みな操作が楽しさから上手になっていくほどに、指先使い、人との関係性も上手になり、その結果面倒で煩わしい習慣が「さっさと」できるようになっていきます。とても時間がかかることでもあります。
大人は「あそび」にこそ、その豊かさを伸ばしていくための努力に力を尽くしていくほうが良いと思います。多少の時間的差異があったとしても、生活習慣はいつかはできるようになるものです。あまりに何度も指摘し続けることは、逆に子どものやる気を奪っているかもしれません。
お絵描き、シール貼り、押し車、花梨抱え、ままごと等々、その一つ一つの動作の中に、子ども自身が身につけていく習慣を見つめていくことが大切です。遊びの中で、なかま、ご家族、保育士への子どもの働きかけをとらえていきましょう。使う言葉や甘えを求める姿勢に、不足している愛情や身体接触、「うれしい、かなしい、くやしい」など芽生えている心を受け止めていきましょう!
いたずらや、なかまへの攻撃、食べ物で遊ぶなど、大人の価値観として否定すべきことを子どもたちはおもしろがって行う時もあります。いくら幼くても、してはならないことはきっぱりと「いけない」を伝えることは必要です。しかも心底から叱ることです。しかしその伝え方は考えなければなりません。「必要に何度も」、「心が傷つくほどに」、「汚い言葉」、これらは現に慎み、子どもとの付き合いは叱ることも「心をこめる」を忘れてはなりません。不適切とは子どもへの心がないことだと思います。自己の習慣にそぐわないからではなく、「子どもにとって必要だから」、これを忘れてはなりません。
カテゴリ:あそび