お知らせ

ゴリラから学ぶ

2024.03.11

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ゴリラから学ぶことは今とても大切であることが分かります。少々読むのに気合が必要な難文?ですが、ぜひお読みください。

[新たな社交で文化再構築 中日懇話会 人類学者・山極寿一さん 2024.03.07 3面 3頁 朝刊 (全1,218字) 第577回中日懇話会(中日新聞社主宰)が6日、名古屋市内であり、ゴリラの研究で知られる人類学者で、総合地球環境学研究所(京都市北区)の山極寿一所長が「共感社会と言葉のもたらした世界 戦争は人類の本性か」と題して講演した。身体を離れた言葉によるコミュニケーションの発達が暴力や戦争を生んだという人類の進化過程を踏まえ「言葉に過度に頼らず、人間の本質に基づく新たな交流や共同体をつくる必要がある」と説いた。講演の要旨は次の通り。
【ゴリラへの誤解】人間の本性について、(17世紀のイギリスの哲学者)ホッブズに代表される暴力的であるという立場と、平和的であるという(18世紀フランスの思想家)ルソーの立場があるが、ホッブズによる研究者があまりに多い。ゴリラには100年くらい「凶暴で残忍」という間違ったイメージがあり、映画でも繰り返し描かれた。1846年にアフリカでゴリラを発見して欧州に紹介した探検家たちが、ゴリラの行動を誤解して広めた。同じ祖先を持つ人間も本質は暴力的だと考えられたが、類人猿の研究が進むと、人間も本質的には暴力的でなく、途中からそうなったと考える方が自然だと考えられるようになった。
【共感能力】他の類人猿と違い、人間は共に食事をして共同で子どもを保育するために、共感能力を高めた。食事は人間の一番古い文化的行動。人間だけが食料を自分が必要な量以上に集めて、その場で食べず持ち帰って仲間と分配する。信頼を築く必要が生まれた。人間は育児の中で、歌で感情を共有するコミュニケーション能力を得た。歌やスポーツのような身体的なコミュニケーションが通じる集団規模には限界があり、これを超えると言葉が必要になる。持ち運び可能で目の前にないものを見せることができる言葉は、物語を作って共有する力を生む。所属する共同体以外とつき合えるようになり、他の大陸にも行けて発展した。しかし、定住して所有するようになると、強い帰属意識から共同体の中の共感が外の他者には敵意として向くようになった。今はさらに共同体の内部をも侵略している。7万~10万年前に生まれた言葉が、結果的に戦争につながる。
【文化の再構築を】人間の心身は本質的に小規模な社会に適応している。現代の情報革命は知能だけを身体の外に出して発達させているが、意識や感情は外出しできないからついて行けていない。われわれは今、フィクションの中に生きている。言葉は複数の文化をつなぐ役割を果たしたが、信頼関係は広がっていない。人は他者を信用するよりも契約やシステムにすがって生きている。システムの向こうに人はいないし、いつか壊れる。言葉に過度に頼らず、新たな社交で文化を再構築する必要がある。違う意見を両方肯定する「容中律(ようちゅうりつ)」がこれから大事になると思う。情報革命が起きたことで、定住する社会を経て、今、再び移動する時代が訪れつつある。所有する生き方を手放せるかもしれない。]
所有と分配、民主主義、そして言葉の世界、皮肉にも人間の発達と活動は破滅へと近づいているとも言えそうです。ゴリラや縄文人の生き方から現代人が学べることはたくさんあります。

カテゴリ:文明社会

あけましておめでとうございます!

2024.01.11

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おはようございます。
【七十二候が小寒の次候に変わり、地中で凍っていた泉が融け動き始める頃となりました。この候でいう「水泉」とは、“湧き出る泉” のことをいいます。まだまだ空気は冷たく、地上のあらゆるものが凍りつく寒さ厳しい時期ですが、目には見えずとも地中では陽気が生じ、春に向けて少しずつ動き出しています。一年で一番寒さの厳しい大寒に向かいながらも、自然界では着々と春への準備が進み、かすかなあたたかさを愛おしく感じられる季節です。】
デジタルな社会は何を生み出すのだろう?私自身もラインにインスタ、SNS、多くのデジタルシステムを使用しています。しかし、新聞、読書、機関誌、チラシや情報誌も見る機会を作るようにしています。デジタルな情報はとかく自分本位な都合の良さに偏りがちになります。語句を検索する、ネット通販を利用するだけで、あふれんばかりの情報提供がまるで押し売りのように畳みかけ発信されてきます。きっと間違った情報もあるはずです。デジタルに毒されるのは「鵜呑み」という状況が日常茶飯事になってしまったときだと思います。
それに比べるとアナログでの経験は深く心に刻まれ、自分で考える隙も生まれ自己の思考回路が活性化するように感じます。その世界観は芸術家、探検家、科学者らが如実に語っています(中日2023.12.25 アナログの底力は?美術作家 奈良美智・探検家 角幡唯介 他)。
子どもたちの人権保障について「自己の考えの表明」という項目があります。自分の意見を持ちその考えを表すにしても、対面のコミュニケーション、活字の読み返しを通じて、相手の口調や表現を受け止める、活字を読み込むことでいったん自分の頭に落とし込むといった時間を持たなけば、実感を伴った確かな考えは出来上がらないと思います。
今後AI等ますますデジタル活用が進みます。そんな時代に子どもたちの思考やコミュニケーションが「鵜呑み」の世界にならないようにアナログの場面こそ保証する必要があると思います。

カテゴリ:文明社会

共助の窓口

2023.11.20


焼肉 あわ座

つくじか出版 看板?

おはようございます。
心温まるお話を2つ。18日付け中日新聞12面「ひとり親家庭招待3年半」名古屋市東区東桜2-15-9 ダイアパレス東桜第2 1Fの焼き肉店「焼肉 あわ座」は、ひとり親家庭の無料招待(細く長くをモットーに週1度)を続けています。「楽しむ子どもや親御さんの笑顔だけでお釣りがくる」店主の考えが良いですね。愛知県母子寡婦福祉連合会をSNSで知り支援活動をはじめました。「子どもと遊ぶのが好きだったくらい」この動機こそ「何でもないお手伝い」という尊い人の心を伝えていると思います。見返りを求めずお手伝いすることは、自分の喜びへと転化していきます(お礼のメッセージは宝物)。
同日名古屋市市民版「出版社(つくじか出版)に自由な居場所(料金不要)」(名古屋市名東区香南2丁目マンション一室で月~土の9時~19時)は、書籍(絵本・アートbook・短編小説)の販売と、空いている一室を訪問者に自由に使ってもらっています。「つくじか」はつくる、じかんのあわせ言葉、「なんだかうまくいかない」、「マジむかつくんだ」など不安、不満、イライラ、自慢話の場として子どもたち、不登校や子育ての悩みの相談に応じる場として運営されています。
「福祉だ、公的窓口だ」と声高に行き辛い窓口を推し進めるだけでなく、自分のできる範囲で人と人をつなげていこうとする小さくてもささやかなあったかさを感じる場所、そんな気負いのない意気込みを感じます!素晴らしいです。

カテゴリ:文明社会

一人は全体のために 全体は一人のために

2023.09.06

「夢中で日を過ごしておれば、いつかはわかる時が来る。」坂本龍馬


おはようございます。
国連公海条約、この聞きなれない条約はどこの国にも含まれない海の取り扱いについて定めようとする法律であり、公海は地球全体で約三分の二を占めているとのことです。(中日-視座9.3 目加田 説子)。北朝鮮ミサイル問題で耳にする排他的経済水域(国が管理する海洋)とは異なる空白海域であったが、昨今の温暖化や海洋資源の枯渇を防ぐことを目的として、20年の年月を経て今月20日より署名開放され約60ヵ国が締結(署名・批准・加入・受諾・承認)していくこととなります。
公海条約は資源保護と深海における海洋遺伝資源(動物や植物の、遺伝物質で医療や化粧品の開発で巨大な市場を生む可能性がある)の利益配分を期待している国々の独占所有の防止、途上国への支援という意味も含まれています。国同士が地球環境保護の元、共存を目的としているのであれば現代社会も精神的に進化していると言えるとのではないかと思います。
幕末期「いろは丸沈没事件(紀州藩所有軍艦明光丸と海援隊指揮下の大州藩(伊予国ー愛媛)所有蒸気船いろは丸が衝突し、いろは丸は鞆の浦に曳航中沈没)」で坂本龍馬が「万国公法」を持ち出し、紀州藩から多額の賠償金を得たことを想いだします。未知の体験である福島の処理水放出についても、すべての国に賛同を得られるようにしていくため、日本は責任をもって今後の追跡調査の公表、漁業者はもとより中国をはじめ放出に理解を得られていない国々にも働きかけを継続していかなければならないと考えます。
また、この「誰もが認める」、「皆が理解している」という約束は、子ども時代から学び身につけていかなければならない考えだと思います。成長過程のあらゆる場面において、人と協調し、反目しながら生きる機会はたくさん訪れるはずです。その都度傷つき、打ちひしがれる時もあるでしょう。良し悪しを強制するのではなく、その時に寄り添い、話を聞き、受け止めてもらえることが、やがて正しい道筋や表現の方法を自身で見つける力となります。大きな取り決めも、小さな出来事の積み重ねなのです。「世界全体が幸福にならなければ個人の幸福はあり得ない-農民芸術概論網要 宮澤賢治」を視点に、皆の幸福を考えていかなければなりません。行ってらっしゃい。 

カテゴリ:文明社会

悪意の愚かさ

2023.08.30

老子と孔子
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おはようございます。
福島第一原発の処理水放出が始まりました。30年をかけて海洋放出することが決まっています。各国の反応は様々ですが、最大の海産物輸出相手の中国政府が、日本の魚介類を全面的に禁輸としたことが、大きな波紋を投げかけています。日本の漁業関係者の意見は次の通りです。【全漁連坂本会長は「処理水の海洋放出については依然として反対するという立場を堅持する。ただ、IAEA=国際原子力機関の報告書などによって、処理水の安全性について理解を深めてきた」と述べました。そのうえで、「しかしながら処理水がいったん放流されれば廃炉に向かって数十年の長きにわたって放流されることが懸念され、大変な不安、懸念を持っている。私たちの唯一の望みは平穏に漁業を続けていくことだ」と述べ、安全性への理解を深めてきたとしながらも放出には反対する立場を重ねて示しました。】長年にわたる安全を真に保障できるのか。未来に対する不安はとても大きいのです。
一方中国の人々は政府系メディアの誘導的報道で、一方的に「関連食品を口にしない」、「放出反対」の意見が圧倒しているように感じます。中国政府は台湾問題等をにらんだ、欧米諸国との確執をこの問題に投影させているようにも感じます。正確さを欠く情報操作は、心無い人々の悪意ある勢いに乗じ、SNS、スマートフォンで福島の飲食業者、電力販売店などに電話をし悪態をついています。中国人に限らずネット環境を使い、人道上許されることがないような悪意ある行為をする者は、残念ながら日本にもどこの国にもいます。傷口に塩を塗るような行為、言動はいずれ自らの身に返っていくことでしょう。それを教えてくれたのも中国の先達です。儒教や道教など今も日本人の土台を形作った思想を生んだ、「恕」の心を生んだ国、兄、隣人でもある中国の人々が本質を見失うことのないように願うばかりです。同時に世界に類を見ない礼節と道徳観を持っていた日本人が、心根を踏み違えることなく、また、子どもたちを育てることにおいて、誤った道を歩むことがないように精進する必要も感じます。行ってらっしゃい。

カテゴリ:文明社会

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