差別への戒め
2023.07.18
宮澤賢治「よだかの星」
よだかは、実にみにくい鳥です。顔は、ところどころ、味噌みそをつけたようにまだらで、くちばしは、ひらたくて、耳までさけています。足は、まるでよぼよぼで、一間いっけんとも歩けません。ほかの鳥は、もう、よだかの顔を見ただけでも、いやになってしまうという工合ぐあいでした。たとえば、ひばりも、あまり美しい鳥ではありませんが、よだかよりは、ずっと上だと思っていましたので、夕方など、よだかにあうと、さもさもいやそうに、しんねりと目をつぶりながら、首をそっ方ぽへ向けるのでした。・・・・・・
第三十三候「鷹乃学習 (たかすなわちわざをならう)」 7/17~7/21頃
おはようございます。猛暑が続きます。最高気温が38度!地球温暖化もとうとうこまで来てしまいました。
【七十二候が小暑の末候に変わり、鷹のヒナが巣立ちの準備をする頃となりました5~6月に孵化したヒナは、この頃に飛び方や狩りの方法を覚え、独り立ちに備えます。鷹は、飛翔力が優れており、空中を自由自在に飛び回ることができますが、獲物を捕まえる時のスピードは、最高で時速80キロにも達すると言われています。また、「能ある鷹は爪を隠す」「鳶が鷹を生む」などの諺が言い表すように、知能指数が高いことでも知られています。鷹狩りに用いられるなど、猛禽類の中では昔から人に身近な存在でした。鷹を巧みに扱い狩りを行う「鷹狩り」は、紀元前およそ一千年前から、中国やインドで行われていたそうです。そして、鷹を操る「鷹匠」は、古事記にも登場するほどの長い歴史を持っています。】
鷹を使った狩りは古来より行われています。その姿、数百メートル上空から獲物を狙い、すばっしっこいウサギ、ネズミも捉えてしまう急襲の狩りは、圧倒される迫力がありますね。ソフトバンクホークス、楽天イーグル(鷲)スなどプロ野球のチーム名にも採用されるほど勇ましさの象徴でもあります。一方夜鷹(ヨタカ)という鳥をご存じでしょうか。名前に鷹はついていますが、この鳥は保護色で灰色や黒の多い、目立たない姿です。食事も昆虫が主食で夜行性、宮澤賢治の童話でも同じ仲間の鳥たちからも差別される鳥として、しかし「よだかの星」という悲しくも気高い心を持った生き物として扱われています。差別、区別は優越感から生まれる心です。人間は心に嫉妬や羨望、憎しみ、怒りという醜い感情を必ず持っています。そんな負の心を自分自身で戒め、言葉や行動で決して表さないように心がけていく必要があります。本当の醜さとは見た目や着飾った外見に翻弄され、心を磨こうとしない人間の心に住まうのです。日々気を付けなければいつの間にか支配されてしまうかもしれません。気を付けるべきです。行ってらっしゃい。
夕刻
今日は朝7時から30度を変える気温のため、室内遊びで過ごしています。湿気も多く、子どもの身長では屋外でまともに輻射熱(地面からの熱)を受けるため、ほぼ頭の先まで高温となってしまいます。本園の園庭で地面と周りに緑があるとは言え、今日のリスクはあまりにも大きすぎます。明日からは最高気温が今日から3,4度下がる見込みですので、外へ出られる時もあると思います。
さて、子どもたちの室内環境設定は、普段何に興味を持っているのかを、よく観察していればわかります。今日は「タイヤ(車輪)」がそのヒントとなりました。必ずと言っていいほど、丸い、黒いはタイヤ(車輪)を連想します。そこでガムテープに線路を書いて、遊びが発展していくように導いています。黒が目立つ黄色のガムテープに道路や線路を書くことは、木製あるいはプラ製レールのようにリアルではありません。だからこそ子どもたちのイメージは大きく膨らみます。写真でも分かりますように、子どもたちはタイヤ(車輪)だけで、自分のイメージを見立てる力を持っています。タイヤの上にはどんな車体が乗っているのでしょうか?心は遙か遠くに行っているのでしょうか?
そんな豊かなイメージを膨らませ、環境を用意していくことも、大人の大切な役割だと思います。外で思い切り体を動かすことが叶わない時は、室内にある素材を子どもたちがどのように見立てるかを予測し、より豊かな遊びが展開され、自己の想いを遂げ、なおかつ仲間や先生とのつながりが豊かになっていくように配慮したいものです。そのことを思うとやはり自然環境の豊かさが子どもたちに与える影響は、果てしなく大きいものと感じざるを得ません。
カテゴリ:教える・伝える