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からだのぶつかり合い

2024.09.17



あそびの最中に仲間と体を寄せ合う、ぶつけ合う、重なり合うなどの触れ合いは、保育士、大人に抱っこしてもらう触れ合いとは少し意味が異なります。

大人は全面的に子どもの身体と心を養護しますが、仲間はそうではありません。遠慮がない、対等、ライバル、そんな言葉が適していると思います。「わらべうた」、「伝承遊び」で考えてみても、乳児さんの年代は「あそばせうた」といって、大人が子どもの手や足、全身をくすぐったり、優しくタッチするなどを伴いながら、子どもとのスキンシップを楽しく、気持ちよさを与えるといった意味合い(愛着と安心を確保)が強いのですが(一本橋こちょこちょ・いないいないバー・おつむてんてん等)、年中以降になれば子ども自身が仲間との競い合い、ぶつかり合いなどを含んだ、子ども同士の関係性ある遊び(かごめかごめ・おしくらまんじゅう・力技術比べ・チーム競技)を欲し、自然に遊び方が変化していきます。

この体の触れ合いは、人間にとって大切な信頼、協同、依存、相互扶助などを行うための土台を培う大切な遊びだと考えます。幼い頃はぶつかり合うことでしか、相手の身体の感触や自己の弱い場所、大切な体の場所を知る手掛かりがありません。時にはケンカをし、手の出しあいなどで激しくぶつかり合うことで、体と心の大切さを理解することもありますが、多くは遊びの中で痛みを感じていくことで、相手に対する思いやりの心も育っていきます。

年長ともなれば自分たちでルールや約束を作り出し、あえてその制約を楽しみながら、「行き過ぎ」、「善悪」、「協力」などの大切な関係性を学んでいきます。仲間を欲するといった自然な発達は、人間がひとりでは生きていけないこと、ひとりで生きていってはならないことを物語っています。他者との交わりを避けることは、自分以外を理解しようとしない姿勢にもつながります。どこまで他者を頼らず生きていけるのかとは異なる問題です。

だから乳児期に大人からのスキンシップと語り掛け、同調と共感、そして大人以外の仲間との身体接触による触れ合いの機会はとても大切です。仲間との接触は分からないこそその機会を持つ必要があります。理屈などは後付けで構いません。それよりも機会を保証し、感じることを優先する必要があるのです。

カテゴリ:発達

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