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屋根の上のバイオリン弾き

2025.04.21

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おはようございます。
週末に「屋根の上のバイオリン弾き」ミュージカルを観てきました。市川正親、鳳蘭主演の素敵な舞台、時代背景はユダヤ人がまだイスラエルを建国する以前、世界のあちこちに分散(主に帝政ロシア下、ポーランド)し生活していた時の生活と迫害を受けた歴史が盛り込まれています。「屋根の上はいつ落ちるか分からない場所、その上で楽しく豊かにバイオリンを演奏することは、まさに私たちの生活そのものである」劇中の言葉が印象に残っています。
【概要-日本初演から半世紀以上、こんな時代だからこそ人々に愛され続けるミュージカル。結婚に必要なのは「愛」なのか「金」なのか?政治的思想と、理想の家庭は両立するものなのだろうか?宗教の違いを超えて、人は幸せになれるのだろうか?親の信念を子供たちに押し付けることは良いことなのか?など、激変する世界情勢の中、いつの時代でも、どの国でも通じる今日的なテーマを、軽妙なセリフ回しと軽快な音楽、ダンスシーンを交えてお贈りする名作ミュージカル、それが『屋根の上のヴァイオリン弾き』です。『屋根の上のヴァイオリン弾き』が書かれた時代のユダヤ人たちは、どのように暮らしていたのでしょうか。

ショレム・アレイヘム作、西 成彦訳『牛乳屋テヴィエ』(岩波書店)によれば、分断によってポーランド王国が消滅した18世紀末からあと、それまでポーランドに住んでいた大半のユダヤ人たちはロシア帝国の支配下に置かれることになりました。テヴィエたちも、そういったユダヤ人の一員だったのです。本作の執筆が始まった1897年頃には、当時のワルシャワ(ロシア領ポーランド)、オデッサ(ウクライナ)などにはユダヤ人の人口が全体の30%を超えていたということですから、かなりの数のユダヤ人がいたことになります。しかし先述の通り、その頃ロシア国内では反ユダヤ主義の考えが高まっていました。その動きは次第に加熱し、20世紀初頭には「ポグロム(ユダヤ人襲撃)」が起こります。同じ頃に、12歳の少年への殺人容疑でユダヤ人が逮捕された「ベイリス事件」が起こりました。実際は冤罪だったのですが、この事件の背景にも反ユダヤ主義が関係していたと言われています。
作品の先にある未来|ナチスによる迫害やがて20世紀中ほどの1940年代にはドイツのアドルフ・ヒトラーによる“ナチス政権”によって、主にユダヤ人を対象とした大量虐殺や迫害が起こります。ヒトラーは、当時のドイツの経済・政治面の悲惨な状況が起こったのはユダヤ人のせいだとして、彼らを強制収容所へ送り、虐殺を繰り返しました。ナチス政権によって虐殺されたユダヤ人は600万人を越えるといわれています。ほかにもポーランド人を筆頭とするスラブ系民族や遊牧民族のロマ、捕虜軍など約500万人の人々がナチスによって虐殺されました。この被害はウクライナ方面に住むユダヤ人にも及び、ユダヤ人集落の無人化が進んでいきました。これらは『屋根の上のヴァイオリン弾き』の時代からは少し先の話になりますが、作中にもすでにユダヤ人迫害の様子が描かれています。前述の岩波文庫『牛乳屋テヴィエ』の巻末解説には「ウクライナのユダヤ人にとって『古きよき』時代の最終段階ともいえるのが、この小説の背景となった時代である」と解説されています。(抜粋 演劇メディアオーディエンス-糸崎舞)】

カテゴリ:歴史

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