上善水の如し
2023.08.03
長い時間をかけて子どもたちは、素材の性質に慣れ親しみ、その変化と不思議に魅了されていきます。特に水や泥、土は子どもたちにとっては底知れぬ魅力の対象のようです。
「水」は中国の古典においても「老子」がその巧みな性質を詩にしています。「上善如水(最高の善は水のようなものである。万物に利益をあたえながらも、他と争わず器に従って形を変え、自らは低い位置に身を置くという水の最高の善のたとえとしたことば。)」水は量、勢いなどが変化することで岩をも貫きます。かと思えば、熱を加え湯にすれば人間に安らぎを与え、生き物の生命維持にも必要不可欠です。考えてみれば原始生物は海の中で生まれました。本能の奥底で元々住みかとしていた水に対し、愛着を持っていると考えてもうなずけます。
だからこそ子どもたちは、本能で水という素材に、強いこだわりを持っているのかもしれません。水と遊び水に学ぶ、自然の摂理から楽しさと教訓を得て、自らの力に変えていくことが成長につながっていきます。人間も生き物の一端を担っています。いつまでも我々の故郷でもある「水」が、美しく様々な生き物のために維持されていくことを願いたいものです。そのためにも子どもたちは、本物の水に触れ、その面白さ、美しさ、偉大さ、さらに恐ろしさを身をもって経験していかなければなりません。また、大人はその環境を与えることで、自然を大切にできる心、身の安全を守る術を自らの力で育てる機会を与えていく義務があります。
カテゴリ:生き物・自然・人間