お知らせ

卒園生、転園生のみなさんへ15

2023.05.18

5月18日 朝

おはようございます。今日も真夏のような暑さです。水分、塩分、休息の摂取をしていきましょう。
アフガニスタンで活躍した医師、中村哲 氏をご存じかと思います。残念ながら銃弾に斃れてしまいましたが、失われてしまいそうなう命に自らの身を投じ献身的に尽くした偉大な人でした。戦争で疲弊した国民は兵士となって家計を支えていました。下痢をして簡単に死んでしまう子どもたちを目の前にし、根本的解決は1本の水路を20㎞にわたって大河から引き、きれいな水で衛生環境を整え、緑の大地を作り作物を育て、アフガニスタンの人々が自給できる大地を作ることでした。「戦争、憎しみの連鎖では平和に過ごす世界は作ることができない。」そんな気概に賛同したアフガンの人々は、銃をシャベルに持ち替えたのでした。「いてもたってもいられない」そんな気持ちに突き動かされたとはいえ、崇高な志と実践者としての想い、人命という尊さへの誠実な行動には、誰もが心を打たれることでしょう。自然の脅威に苛まれて何度失敗しても、決して投げやりにならず淡々と事をなしていく姿は、失われゆく日本人の献身的な姿として永遠に心に刻まれるに違いありません。
中村医師は堰が大雨で押し流されたとき、日本に戻り福岡県の山田堰を見学したそうです。そこで佇みじっと川面と堰を眺め、土木工学では達成しきれない、人間の知恵と思いの強さを想像していたのではないでしょうか。理屈ばかりが完璧でも、うまくいかないことは世の中に五万とあります。そんな深い人間活動の極みは失敗にこそ見つけられる真実かもしれません。私たちも今後、気候変動、少子高齢社会、戦争、差別と様々な障害を乗り越えていく必要に迫られます。そんな時知らぬ顔をせず、どれだけ自分事として考え、中村医師には到底及ばないとはいえ、小さな行動を積み重ねていくことが、良い方向を見つけ出すカギになると思います。機械が人間の先を行く時がやってきても、思いの強さで動いていく世界は、きっと人間社会の最後の砦となっていくに違いないと信じていきたいですね。行ってらっしゃい。

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卒園生、転園生のみなさんへ14

2023.05.17

5月16日 幼稚園年中さんとの園庭交流
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いらっしゃーい ようちえんのみんな!

初めての幼稚園年中児さんとの交流会。今日は天気も良く暑くなったため、時間を調整しながらの活動となりました。さすが年中さんは顔を真っ赤にし、汗だくになりながらも夢中で遊び通す体力が育っています。体も心も大きくなり余裕が感じられます。門をくぐる前に担任の先生から、「園庭では走らないように」と言われていましたが、忘れてしまうのが子どもです。でも子どもたちは山から駆け降りる時、車で滑り降りる時、しっかりと周りを見て、足でブレーキをかけながら降りていました。保育園児にどんな年齢の子がいるのかをちゃんと分かっており、幼い子を傷つけないように自分で配慮できていたのです。言われたからではなく、4,5歳なりの判断力で自分と他者を傷つけないようにする心と体が身についていると感じました。
一方保育園の子どもたちは、いつもと違う雰囲気に驚き、立ち止まってはいたものの、少しづつ緊張も解け、一緒に遊ぶまではいかなくても、興味ありそうな表情で見つめていました。迫力ある大きい子の遊び方に目をまん丸にし、恥ずかしがって自分からは近づこうとはしない様子は、とても順当な反応だと思います。
こうして「不規則」、「初めて」、「突然」などの変化に対し、沢山の人との関りを経験することで、決して怖さばかりではないこと、助けてくれる人がいることなども理解し、「動じない心」を自分の中に育てていきます。その力はどんなに小さな子どもでも紛れもなく自分で作るべきものであり、その機会や環境を与えていくことは、大人が責任を持ち用意するものなのです。

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卒園生、転園生のみなさんへ13

2023.05.15

5月15日 朝
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おはようございます。今日は不安定な天気となりそうです。
【七十二候が立夏の末候に変わり、タケノコがひょっこりと顔を出す頃となりました。やや遅く感じられるかもしれませんが、実はタケノコにも種類があり、収穫期も少しずつずれてきます。最も多く出回っている中国原産の孟宗竹は春先の3月中旬から、日本原産の真竹は5~6月に旬を迎えます。ですので「竹笋生」の竹笋とは、真竹だと考えられています。竹冠に旬と書く筍は、まさに旬を感じる野菜の代表。その旬は非常に短く、食べごろは土から顔を出してからわずか10日程と言われ、上旬・中旬・下旬と月を10日間に分けるのも、筍の旬からきているそうです。タケノコとはご存知のとおり、竹の芽の部分です。すくすく育つようにと、お食い初めの縁起物の一つにもなっていますね。タケノコの成長スピードは、2~3ヶ月で20mもの高さになり、ピーク時には1日に80~100cmも伸びるといわれています。竹には60個ほどの節がありますが、この節の数は、タケノコの時から変わらず同じ。それぞれの節に成長点があり、それらが同時に成長するため、竹は驚異的な速さで伸びていくそうです。筍は、掘りたてが一番美味で、朝掘りの新鮮なものはそのままお刺身でいただけるほど。掘り採ってから時間が経つほど固くなり、えぐみも強くなるので、極力早いうちに調理や下ごしらえを行います。】
人間の成長に似ている?様な気もします。幼いころはとても成長が早く、新生児期(生後30日程度)、乳児期(およそ1年)に1週間そばにいないと、様々な表情や体の動き、感情の表現などあっという間の変化を見過ごしてしまいます。ご家族はもちろんですが、私くらいの年齢となると、この瞬間がとてもいとおしく、貴重な機会に感じられてきます。『明日ありと思う心の徒桜(あだざくら-はかなく散ってしまう桜)、夜半の嵐の吹かぬものかは【意味】明日もまだ桜は咲いていると思っているが、夜更けに嵐がきて桜の花を散らすことがないといえようか、そんなことはない。-親鸞聖人』日々を大切に生きるとは、何気ない関りと風景を一度限りの時間としてとらえ、過ごしていこうとする覚悟だと感じます。子ども自身は意識していなくとも、それぞれの成長の節々で自然の力で伸びようとする力があるはずです。そんな分節に大人の力が大きく必要なのは人間の子どもだけかもしれません。だからこそ節々の見守り方も考え(乳幼児期-肌を離すな・学童期-肌を離し、手を離すな・・・)接していく時間を大切に確保していく必要がありますね。行ってらっしゃい。

午後
こどもたちにとって水ほど魅力的な素材はありません。どの子も集中力が半端ではないです。なぜここまでひきつけられるのでしょうか?雨上がりの園庭は土の様子、湿度、風の香り、お日様、生き物もすべてが何となくいつもと異なっています。さらに心の中に「どうなっているのだろう」という、興味と意欲が湧き、自然に様々な活動を生む心の動きに誘われます。
シロツメの花を水に入れてみるなど、なかなか思いつかない発想です。たくさんの水をスクウことも今回はスコップオンリーでしたが、コップやお皿でも可能なことにいつか気づくと思います。それにはたくさんの水が必要かもしれませんね!すべてが自然が与えてくれた恩恵から始まっています。自然は様々な知恵を人間から引き出します。水は低いところに集まり、器があればその中に納まります。なんと不思議で自然の摂理にかなった素材なのでしょうか。理屈ではなく子どもたちは肌身でそのことのおもしろさに気付いています。
川や海、日常でも雨上がりであれば(もう少し体が強くなれば、合羽を着て雨の中で遊ぶ、散歩することも可能)子どもたちの興味を大きく膨らませることができます。子ども自身の頭のなかは、きっと水があれば、雨が降れば遊びたい気持ちでいっぱいになっているはずです。この環境を安全に用意できるのは恐ろしさと楽しさを知っている大人です。安全と危険は隣り合わせですので、水の量、高さ、速さにはこれからの季節十分注意することが必要ですが、水は遊び道具、体を冷やす(温める)効果等、様々な力を持っています。子どもたちに積極的に準備したい環境であることは間違いありません。

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卒園生、転園生のみなさんへ12

2023.05.12

5月12日 朝
旧NHK教育テレビ 「できるかな」 ノッポさんの心よ 永遠に!

おはようございます。
「ノッポさん」が昨年9月に世を去りました。88歳だったそうです。発表されたのは10日のことで、「みんなをわずらわせたくないから、亡くなっても半年以上は公表しないように。風のように自分は逝くからね、見ててよ」周りを騒がせたくないという実にノッポさんらしい言葉です。ノッポさんはNHKの教育テレビ番組「できるかな」でその名のごとく長身で一言もしゃべらず、トレードマークである緑色の帽子を被り、夢中に工作をする姿で子どもたちにも親にも人気がありました。不器用でも一所懸命楽しい物作りに励み、失敗しても諦めない姿、実は子どもの頃から手先が不器用だったノッポさん、苦手なことがあっても楽しく諦めない心を無言で伝えてくれていた真の教育者だったと思います。
人間にとって何を大切にし、生きる必要があるでしょうか?まさに彼が伝えたかった「楽しく、諦めず、一所懸命、心優しく」だと思います。この心を忘れた生き方、伝え方が現代の子どもたちの「心の闇」を作っていると感じます。私たち大人は気を付けなければななりません。子どもに技術や知恵を用意する前に、「仲間」、「会話」、「触れ合い」、「多様な世代との関り」を得ることができる環境を準備すべきです。乳幼児期、学童期においては、狭くて少ない人間関係ではなく、「量」を大切にしなければならないのです。知識、技能の習得はそれからで十分です。
苦手な工作を自分の仕事としたノッポさん、マイナスに思えるようなことに活路を見出せる力は、きっと多くの大人、仲間がいる環境に育てられたものと信じます。今日もたくさんの人と自然に囲まれ、子どもたちが様々な経験をできますように、誰かを頼ることで「真の自立」へ向かう土台が培われますように願っていきたいと思います。行ってらっしゃい。

夕刻
「子どもは寝て育つ」と言われます。寝ることは人間にとって成長、疲労回復のためとても必要な時間です。交感神経と副交感神経が入れ替わり、心の休み時間を確保できるようになっています。心地よい日差しと外気の中でゆっくりと副交感神経が働きだします。心身にとって必要な脳内休息、回復時間を満たせば、交感神経が働きだし心と体はゆっくり動き始めます。そして様々なものに影響を受け、記憶や身体使いを体得していきます。
さらに量の人間関係に触れながら(今日は睡眠中・大きい子にとっては優しくすべき対象)、「かわいがられ、かわいがり」を体験することで、人への接し方を覚えていきます。幼い子どもにとって心への刺激機会はとても大きく多いはずです。ですがそのことが決して負担だということではなく、成長するための糧となっていると思います。人間は心に「空」があるからこそ、沢山の情報を取り込むことができ、睡眠があるからこそ、またゼロ(空)に戻ることができます。そして受け止められる刺激の量も、その回数が増えるにしたがって大きく強くなっていくのです。心身への負荷はかかりすぎるとストレスとなり、心も体も壊れてしまう可能性があります。適度、中庸(ちゅうよう)が大切なことは、先人の言を見ても明らかです。
子どもは大人よりも好奇心旺盛にインプットされています。それは生きていくための手段であり、必然でもあります。したがって脳と体を休める時間もたくさんないと生きていくための感性、体力を持続していくことができないと思います。うまくできていますね。

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卒園生、転園生の皆さんへ11

2023.05.10

科学の進歩がもたらすものとは?5月10日

おはようございます。暦では立夏を迎えます。本格的な夏はまだ先で、気温もまださほど高くありませんが、陽の光は一年の中で最も強く、「光の夏」とも呼ばれます。今日は暑くなりそうですね!
【七十二候が立夏の初候に変わり、野原や田んぼで蛙が鳴き始める頃となりました。蛙の声が響くようになると、野山の若葉もみずみずしく輝いて、まもなく本格的な夏が訪れます。蛙は生まれてから別の場所へ移動しても、その後必ずもとの生まれた池に戻ってくることから「帰る=蛙 (かえる)」と呼ばれるようになったといいます。「無事帰る」「お金が帰る」などにつながることから、古くから縁起が良いとされてきました。また、「蛙」という漢字は鳴き声に由来しており、蛙が「けーけー」と鳴いていると捉えられたため、虫偏にこの「圭」が用いられたといいます。真夜中に響く蛙の大合唱は、夏の夜の風物詩。いろんな鳴き声がこだましますが、実は鳴き声にもそれぞれ意味があるそうです。オスがメスを呼ぶ求愛の声、危機を感じたときの警戒の声、なわばり宣言の声など。意識して聞いてみるのも面白いものです。】
「不便益(不便だからこそ得られる益)」という言葉(京都先端科学大学教授 川上浩司提唱)があります。(4月30日 中日 社説)不便をあえて楽しむという意味です。現代は様々な電子機器や便利グッズを手に入れることができます。使い捨ても多いです。この「もっと、もっと」が、環境を破壊し人間も退化させていくことを危惧しています。世間では今「キャンプブーム」です。この世界においても様々な用具が販売され、手軽に自然の中で生活できるようになってきました。購入したテントを組み立てることも、ユーチューブを観ながら現場で行う人もいます。準備や練習の楽しさ、「物を組み立てるワクワク感」はあえなく素通りされ、自分の頭を使わなくても済むことをあてにし当日を迎える。それはそれでよいのですが、「1本のロープ」、「1枚のブルーシート」でも居住空間は確保でき、箸は小枝、竹はご飯を炊くことも水をためることも可能です。要は工夫(頭を使う)次第で何でもできます。また、その工夫が楽しいとも言えます。
先に掲載しました「2001年宇宙の旅」キューブリック監督は、コンピュータ「ハル9000」を登場させ、人間を越えようとする人工知能の危険を描きました。人間自身が作り出す喜びによって自身を滅ぼす。このようなことにならないよう自分の頭と体で物事を感じ、生きていきたいものです。不便であることは人類にとって大きな可能性と成長の喜びを感じさせてくれます。チャットGPTも使い様ですが、危険をはらんでいることは確かです。
今日も機械を頼りすぎず、子どもたちのように自分の感覚器官を信じ生きていきたいですね。行ってらっしゃい。

5月10日夕刻 子どもの「まねび(学び)」 
4月に入園した子どもたちにとっては、園庭の素材環境は具体性に乏しいと言えます、反面使い方によってはとても大きな可能性とおもしろさを含んでいます。素材そのままがほとんどのため、最初はどうやったら良いのか使いあぐねています。それでも子どもたちは、直接素材(砂、実、花、葉、水)に触れていくことで少しづつ慣れていきます。また、それぞれの自然物が持っている肌触りや色、香りなど五感を刺激する要素が、子どもたちの心と体を揺さぶるのです。
そして先輩、上の年齢の子がとても楽しそうに素材を使いこなすのを見て、最初は真似ます。真似て使ううちにその楽しさを実感し、「もっと もっと」とオリジナルな使い方も見つけることができるようになっていくのです。ここまでくれば大人は手を出す回数が減っていきます。逆に子どもの奇想天外な発想と豊かさに驚かされることも起きます。もちろん乳幼児期は大人が「きっかけ」をたくさん作るべき発達時期ではあります。
そして危険も増してくるということです。大人が必要以上に危険を知らせることが、自身の安全確保への力を身につけるのではなく、「自己選択」が自分の体を守るうえで、後々必要な力となっていくことを考えておかなければなりません。この危険への対応を身につける絶好の機会が「小さな危険」なのです。小さな危険を自分が選んだ活動で、繰り返し体験することにより、大きな危険を回避、あるいは事前に対応し、最小限のケガで済ますことができるようになります。結果がすぐに現れるわけではありませんので、大人は辛抱強くこの機会を見守る必要があります。

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