お知らせ

水の性質に触れる

2023.08.29

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なんか フワフワするね

水の性質を理解するには、様々な方法、環境を用意すること、そして保育士の働きかけがあってこそ有意義な空間と時間になります。大人は水が凍ったものが氷であることを概念で理解していますが、子どもたちにとってはさぞや不思議なものと感じているに違いありません。氷の入っていた箱から取り出せば、個々の氷がその形のまま飛び出してくる経験は、砂よりも氷の方が透明で分かりやすいかもしれません。しかし時間が経つことで角が取れ丸くなり、小さくなっていくのも「溶ける」という現象ですが、実物の変化を通して氷の性質を理解します。いずれ水と氷が実は同じものであることにも気づいていくことでしょう。

他にも水は物を濡らすことで、線や形も作り出します。しかしいずれ乾いて見えなくなります。また、水の最大の性質はどんなものにも対応できる柔軟さがあることです。器、ビニールにもためることができ量が多ければ重さも出てきます。さらにビニールであればクッションになることも可能です。そして、そんな様々な水のおもしろく、不思議な性質を感じさせていくには、物を用意することが必要です。どんな使い方をするのかも、ヒントとして目の前で見せていくことも大切な大人の働きかけなのです。

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アナログの体験 幼いころの夢中の力

2023.08.26

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どんどん 干すのだ!

布を洗う、干すこの一連の動作の中にも、水の中で洗う、濯ぐ→絞る→伸ばす→物干しロープに偏りなく干す→たたく→洗濯ばさみで挟む→乾いたら取り込む→たたむ→タンスにしまう 現代はいくつかの動作が失われていますね。便利になることは良いのですが、物の性質を理解する機会を失っているということは確かです。

私が子どもの頃はさすがにタライに洗濯板という時代ではなくなっていましたが、脱水機はなく横に布を挟んで手回しすると二本のローラーで水は搾り取られるようになっていました。はさむ布が厚すぎると、すごい力が必要になったことを覚えています。子どもにとっては何でもはさみたくなり、葉っぱやら木を挟みどうなるだろうと興味津々!叱られたものです。

お家ではどなたが干していらっしゃいますか?乾燥機が役目を果たしていますか?今は文明の利器を使うことは全く問題ありませんが、「子どもたちが物事の本質、成り立ち、構造、摂理などを知る権利」は、保障すべきだと思います。アナログな世界にこそ、その宝物が潜んでいることは意識しておく必要があります。

中学校の理科の実験でアルコールランプが消えつつあるそうです。理由は「マッチを擦れない」、「家庭では自動着火がほとんど」等の理由だそうです。なおさら火薬の性質や発火の仕組みを知る機会もなくなりますね。いつぞや学校のBBQ大会で、消毒用アルコールを着火剤代わりに使用し、学生さんが亡くなった事件がありました。これなどは典型です。アルコールにも揮発性は様々あり、ガソリン、消毒用アルコールなどは非常に揮発性が高く着火すると危険が大きいのです。本質と原理を実際に扱うことで学んでいれば、このようなことは起こらなかったのではないでしょうか。

子どもたちは木綿のハンカチを広げようとする時、水気を含んでいるハンカチが引っ付くことを知ります。「なぜペタッとひっつくのかな」これが、ハンカチと水が同じ場所にあるとき起こる現象です。そのことはおもしろさもありますが、上手く伸ばせない困難や顔に被ると窒息の危険さえ生じるのです。しっかり洗わなければ汚れも匂いも取れません、絞らなければ乾きも遅いし、たたかなければ布はしわしわにもなります。自分の手足と頭を使い、失敗を繰り返しながら洗い、濯ぐ(すすぐ・ゆすぐ)ことが、本質や原理を理解するチャンスであり、繰り返し同じことを体験することで発見できる生活の知恵でもあるのです。この力をつければ、他のあらゆる場面で応用できる目線をも育っていくことでしょう。失敗しても良いのです。興味を持って取り組めるのは幼いうちだけです。徐々に便利さに迎合し受け止めていくのが大人ですから、「今」しっかりと体験してもらいたいと感じます。これこそ「生きる力」を育てるということです。

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子育てをたのしむには?

2023.08.04



初めての場所、初めての素材、初めての人、初めての食事、生まれて年月が短い乳幼児さんにとっては、驚きや恐ろしさ、不思議と興味は並大抵の大きさではないと思います。当然感じたことに対し心に起こった感情を体験することは免れません。大人はその感情に関して時に同調し、時に安心させるため抱き上げ、声をかけスキンシップを自然な形で行います。自分を包んでくれる大人の腕、胸、暖かさ、声、香りによって子どもたちは心を落ち着かせ、平常を取り戻します。同じものに再び出会ったとき、以前よりも怖さは少なくなっているかもしれません。反対に忌避するものとして長い間、心に横たわってしまうこともあるでしょう。「強い刺激」は、極端な反応を起こしかねませんので注意が必要です。

日本人は子どもを育てるために様々な方法を編み出してきました。貧困が続き、仕事をしながら子守をしなければならない状況は日常茶飯事だったと思います。どんな調子のどんな歌を唄いかけ、どんな遊びを持ち掛ければ、子どもたちが落ち着くかを子どもと一緒に楽しみながら、試行錯誤して見つけてきたのだと思います。

効果的なものは「わらべ歌」として今に伝えられています。「はやし歌-泣いたカラスがもうわろうた-子どもがびっくりして泣き止んでしまう」、「子守歌-おんぶして、抱っこして歌と揺れるリズムで安心へ」、子どもの感情コントロールはまだまだ未熟な年齢においては、大人の知恵と助けが必要です。寂しい、悲しい、そんな負の感情を体験したとき、少し心が和らぐようにしてあげること、有頂天になってケガをしそうなとき静かに集中できる環境を用意することで、子どもは自分自身の心を自発的に納めていけるようになっていきます。そのような方法は親から子へ保育士から子へ、伝承されていくべき大切な文化だと思います。大人でも音楽や芸能を見たり聞くことで、自らの心を納めますよね。子どもたちにも歌や手足を使った文化が必要です。人生を大いに楽しんでいる時代だからこそ、遊ぶための環境はたくさん用意されるべきです。親、祖父母、仲間、保育士はそのために必要な大きな要素です。家族として、教育者としてそれぞれの立場の中で、目の前にいる未来に大きな可能性を秘めた存在である子どもの権利を守っていかなければなりません。

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星にねがいを

2023.07.07


おはようございます。今日も天気はよさそうです!
第三十一候「温風至 (あつかぜいたる)」 7/7~7/11頃
【七十二候が小暑の初候に変わり、熱い風が吹き始める頃となりました。この時節の前後に梅雨が明けますが、梅雨明け頃は、湿った暖かい空気が流れ込みやすいため雷雲が発生しやすく、突然の雷雨、突風が起こることも。また、強い日差しと共に気温が一気に上がるので、注意が必要な時季でもあります。「温風至」の温風とは、梅雨明けの頃に吹く南風のことで、「白南風 (しろはえ)」と呼ばれます。ちなみに、梅雨の間に吹く南風は「黒南風 (くろはえ)」です。どちらも亜熱帯から吹く暖かく湿った風ですが、雨雲が覆う梅雨空では黒、さわやかな青空の下では白と、風にも色をつけて言い表しました。これから日に日に暑さが増していきます。】
七夕に寄せて
七夕伝説は子どものころから慣れ親しんでいますが、今日は「双子の星(宮澤賢治)」という作品(第1章)を紹介します。【天界にすむチュンセ童子とポンセ童子は双子のきょうだい、決まった時間に笛を奏でるのが神(王)様から授けられた使命です。一方サソリはいつも決まった西の空に輝く赤星、カラスも役割を持ち、役割を果たせなくなった時、天から海の底へ落とされます。そんな時水を飲みにやって来たサソリとカラスは、日頃からの仲の悪さが爆発し、双方が傷つきます。双子星は自力で歩けないサソリを家まで送ろうとしますが、力尽き倒れてしまいます。そんな時すべてを見ていた天の神様が皆を助けます・・・・】このお話には死力を尽くし他者を助けることが人として大切であることを伝えています。実は賢治はきょうだい星を「自分と早世した妹 とし」に当てはめているとも言われています。遥か天空でいとしい妹に再会することを願っていたのかもしれません。私の言葉足らずよりも現代は「ユーチューブ」があります。ご興味のある方はぜひ「賢治のトランク」で検索してください。七夕の夜を素敵なお話や歌を観聴き、瞬く星たちを眺め過ごすのも、心が澄み渡り良いものです。

「星めぐりの歌」宮沢賢治作詞作曲

あかいめだまの さそり ひろげた鷲の  つばさ あをいめだまの 小いぬ、ひかりのへびの とぐろ。
オリオンは高く うたひ つゆとしもとを おとす、 アンドロメダの くもは さかなのくちの かたち。
大ぐまのあしを きたに 五つのばした  ところ。 小熊のひたいの うへは そらのめぐりの めあて。

夕刻
神様、仏様、ご先祖様、人は都合よく「希望を叶えたい時」のみ頭を下げ、かしこまってお願いをします。日常的にどれくらい今日1日が無事に終わったことを「感謝」しているでしょうか?天は万能ではありません。お願いをしたからと言って都合よく叶えてもらえるとは限りません。そして人間は「子どもを作る」のではなく、「子どもを授かる」ものであるという心を忘れてはならないと思います。人間としてこの世に生まれ出られた確率は、3億分の1というほぼ奇跡に近い数字だそうです。なんということでしょうか。だからこそ愛おしく大切に育てなければなりません。医療が未発達の時代は、多くの子どもが成人する前にこの世を去っています。節々で行う子どもたちの行事は、今まで無事に生きてこられたことを家族、地域で喜び、人の力ではどうにもならない偉大な力を怖れ、崇めることで守られてきた証でもあります。これからも元気に育ってほしいといった切実な思いは、今後も引き継がれていかなければなりません。命の尊さが軽んじられるような現代社会で、原点や本質を忘れてしまうことは、神や仏を都合よく私的頼み事に替えてしまっている現実によく現れています。日常に感謝し、生かしてもらっていることに手を合わせ、日々を誠実に生き、誰かのために生きていくことが、最後には自分自身の幸せにつながっていくと信じます。

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卒園生、転園生のみなさんへ32

2023.06.21

花文字 中国伝統芸術 漢字の書体の一種。漢字の筆画を花、鳥、魚、虫、草、山、水などの縁起の良い文様に置き換え、基本的な漢字字形に従って、絵画と書道を統合して形成した書体

おはようございます。今日も曇りで外で遊ぶには丁度良い環境となりそうです。
【七十二候が夏至の初候に変わり、乃東が枯れていく頃となりました乃東とは、冬至に芽を出し夏至に枯れる「夏枯草 (かこそう)」の古名で、紫色の花を咲かせる「靫草 (うつぼくさ)」の漢方名でもあります。ウツボグサは、日当たりの良い山野の草地に群生し、夏至の頃に枯れていきますが、この枯れて茶色くなった花穂が「夏枯草 (かこそう)」です。夏枯草は、古くから洋の東西を問わず漢方として用いられてきました。この生薬を煎じて飲めば、利尿・消炎作用があり、煎液は、ねんざ・腫物・浮腫の塗り薬として、また、うがい薬にも用います。英名は、「all-heal = 全てを癒す」。和名は、花の形が矢を入れる「うつぼ」という道具に似ていることから付けられました。今回の候「乃東枯 (なつかれくさかるる)」は、冬至の初候「乃東生 (なつかれくさしょうず)」と対になっています。】
作日、今日は一般対象の園庭開放日です。昨年お世話になった加藤久美子先生(21日)、児童民生委員さんもいらっしゃり、お母さんや子どもたちと触れ合いの機会を持っていただきます。在園児さんにとっては様々な人に出会えるチャンス、地域の親子さんには、安心して遊べる場所の提供と、子育て仲間との出会い、育児、子どもの発達の学び機会としていただければ嬉しいです。行ってらっしゃい。

夕刻
今日は一般の皆さんのための園庭開放日でした。4組の親子様、加藤久美子先生、児童民生委員さん、蟹江町サロンの方もご参加いただき、様々な世代と専門家が集まる賑やかな園庭となりました。民生委員さんは年齢でいえば祖父母の世代、専門家ではありませんので、若いお母さま方に対しても遠慮がちです。これで2回目の来園になられますので、前回よりも余裕をもって親と子に関わる様子もうかがえました。子どもたちも大人も、いつもと異なる人や場所の環境に慣れるには時間が必要です。加藤先生にもたくさんの質問をされ一所懸命です。どうぞ肩の力を抜いていただきまして、自然体で楽しい園庭での子どもたちとの時間を楽しんで過ごしていただければ嬉しく思います。人間同士は対面で相手の息遣いも感じながら、笑顔と躍動感の関係性を持続していくことで、仲間になっていくことが可能になります。
江戸時代、庶民の生活は主に長屋と言われる隣近所が間近にある生活空間でした。中央に皆が集まれるようなスペースがあることも・・・、ひとりの問題を皆の問題として、皆の問題を自分事として心配しあっていました。貧しくつつましやかな生活が、そのような相互扶助の精神を生むのかもしれません。現代は情報も何もかも手に入れることは、テレビ、ネット、スマフォで可能になりましたが、一番大事な信頼や親近感を失っていることが増えてきました。私たちの祖先は仲間や隣人に迷惑をかけて村八分(近所付き合いをやめること)となっても、葬儀と火事だけは手伝う(疫病、延焼防止)風習を残しています。対面の付き合いは、最低限のルールを守り、人間同士が生きていくために必要なことだったのです。
人が生きるということは、必然的にどこかの誰かとお付き合いをするということだと思います。付き合いは心の中でいくら理論づけをしてもうまくいかないことがたくさんあります。しかし、頑張っている姿や言葉に触れるだけで、お互いを理解できるきっかけをも見つけることができるのです。意地を張らずまずはその場に身を置くことから始まると思います。

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