「子どもの権利」を保障しなければ!
2023.09.19
決定的瞬間! この不思議 快感! やってみなけりゃ 分かりません 本日のベストショット!!
手先、指先が十分使えるようになってくると、自分の好みや集中できる対象の選別に個性が現れてきます。保育は様々な環境を提供することで、子どもたちひとり一人の意欲が湧き上がる機会を設け、主体性を引き出していくことが大切です。「だれもがおなじではない」のです。したがって大人が「こうしてほしい」という願いのために、あまりにも物事を押し付けていくことは危険です。何が危険かといいますと、子どもは心の中で「やりたくない」と思っていても、大好きな大人から言われることに従おう、ホメられようと思う心が強く、その信頼に応えていきたいと知らず知らず考える傾向にあるからです。このような心の働きはもう少し先となりますが、習い事などの提供においては慎重になることも大事だと考えます。
子どもたちは様々な素材(新聞、広告)の使い方、自然物の性質、お日様を受けてできる影、へんてこな形の野菜(ヒョウタン)等々、見て、触り、匂いをかぎ、吹いて、つまんで、素早く水に足を着地させ・・・、物の性質の面白さを五感をフルに活用することで発見していきます。その様子はまさに「水を得た魚」そのものです。その集中力と意欲を止めることほどナンセンスで子どもの権利を阻害することであるのは言うまでもありません(危険回避は別)。
さらに私たち保育者は、人的環境としての関りに専門性を意識しなければなりません。それは、否定的言葉は極力使わない、結果論や大人の価値観で決めつけない(だから言ったでしょ、決まってるでしょ)、大人都合で子どもを扱わない(安全確保のためゲージの中に押し込まない等)、映像や目的のないおもちゃのバラマキはしない、今は話し掛けるべき時か(集中しているときに話しかければ邪魔をすることになる)、どんな言葉をかけるか(疑問形「どれだけ、いくつ、」、選択「どちら、何色」)、ナレーション(子どもが行っている様子を言語で表現する「クルクルだね」、「パシャーン とんだね」-オノマトペ 言葉が未熟でも子どもは聞いている)・・・・、等子どもたちが素材に親しみ、考えや行動をさらに深め発達を支援します。
また、感動や不思議に共感共有することで、身近な人への信頼感を育て、「自分自身を肯定する(自己肯定感)」を身につけられるように、日々子どもの遊びを見つめ、どんなかかわり方がベストであるのかを探求していく必要があります。写真一枚一枚には、そんな子どもたちの成長を願う、切実な思いを写し込もうとしている保育者の気持ちが込められていることを、ご理解いただければ幸いです。
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大人の反応の大切さは人間を育てる!
2023.09.15
乳幼児期の子どもたちの生活は、欲求が満たされることを第一に考えなければなりません。心の成長(欲求)と体の発達は常に一緒に伸びていきます。あそびの欲求が満たされれば心は落ち着き、生理的な欲求(食べる、寝る)が発動します。神経で言えば交換神経と副交感神経が入れ替わり、バランスよい休息と発達を得られるリズムが出来上がっていきます。
さらに写真では「三項の関係」も見うけられます。これは自分が指さしている絵(ゾウさん)が、好きな動物であること、知っている生き物であることを、懸命に指で指し示し、保育者の顔を見て同意を求める心の現れです。心の中は感動と表現したい気持ちであふれているのです。今は言葉を持ち合わせていないだけです。
ここを見逃してはいけません!大人はすぐさま「そうだね、ゾウさんだね かわいいわ 先生も大好きよ」とあふれんばかりの笑顔を伴って、言葉(音)を返さなければなりません。その応答をこまめに行っていくことが、言葉を獲得する土台につながっていくのです。言葉やルールは大人の権威や威圧によって教え込むのではなく、子どもが自分の力で勝ち取っていくものです。「人は人によって育てられて初めて人間になれる」ことを心に留めておかなければなりません。
その支援はどんな方法が正しいのかは綴っているとおりです。叱責や我慢で真の忍耐や思いやりが育つのであれば、劣悪な環境で育っている子が忍耐強さを身につけられるということになります。大きな間違いです。「愛情を受けて育つ」の具体性は、この大人の丁寧な「映し出し」がとても大事です。「何度言ったら分かるの」、「赤ちゃんじゃないのだから」といった、決めつけの言葉を浴びせていくと、子ども心はねじ曲がったり、ふさぎ込んだり、いつも不安を背負ってしまったり、「こうなってほしいという大人の願い」とは裏腹に、自信のない気持ちの弱い子どもになっていってしまいます。
保育者、親の発する言葉、表情は人格形成に大きな影響力を持っています。自己を振り返り今がそうでなくても「気付く」ことが何より大切です。常に自己を省みることを忘れてはなりません。心底気付けば子どもも大人も自分で変わることができます。子どもはまっすぐですが、大人の視方、考え方は、自分で自分を邪魔することもあります。だからこそ「人の言葉に耳を傾け」、「自制を忘れず」の構えが必要です。「六十にして耳順う(したがう)-孔子」では、遅すぎることもあるのです。
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水 朽ち木 小枝
2023.09.13
まあ さっきのジョウロだ ここへ注ぐためだったの 答えは濡れた枯草が物語っていますね!
個々の子どもによって夢中になれる遊びは異なります。それぞれの興味に応じて自分の好みまたは得意な場所、物、人との関りを選択して遊びこんでいきます。園庭環境はとにかく自由度が大きいため、子どもたち相互も「おもちゃを取り合う」という状況が発生しにくくなります。また遊びと遊びをつなぐ道具(押し車・縄跳び・タイヤ他)、担任以外の先生もいるので、多様な感覚に出会うチャンスが室内よりも格段に増します。
雨上がりの園庭でどんな遊びをしているのか覗いてみました。おもしろかったのは、朽ち木の時ですね。ひとりの子が一所懸命に小枝で柔らかくなっているところをほじっているのです。何かを発見したいとか、確かな目的があるわけではなく、とにかくひたすらほじり返すのです。その楽しそうな様子に同じ年齢の子が集まってきます。そして同じことをする子、異なる素材(ジョウロの水)を上から注ぎ関わろとする子等、多様な人間関係が芽生えてきます。なんでそのようにしているかは不明ですが、水がかかることで朽ち木の状態も変わり、何だか科学実験のようです。おもしろいですね。
この状況を見て思います。「子どもたちは探究心旺盛な小さな研究者だと。」ただし自他の身の安全や健康を省みることがないため、安全、安心は大人が確保していかねばならないこと(日陰遊びへの導入、小枝がケガの原因にならないよう見守る)。そしてシロツメや猫じゃらし、カヤツリソウ、シークワサー等、個性ある性質や形を持つ草花、実を見立てて遊ぶヒントとなるように支援していくことが、子どもが自分で伸びていくため、大人がなすべき環境準備とお手伝いだと考えます。
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大治の事件 児童精神科医 佐々木正美先生のことば
2023.09.07
「子どもの心の育て方」佐々木正美 著 岡田千晶さんの挿絵もとてもステキで心温まる1冊です。おてもとにいかがですか?
幼い時はたくさんの大人に出会い、いっぱい、いっぱいかわいがってもらわなければなりません。自分自身が笑顔で迎えられ、抱っこされ、褒められることで、子どもたちは自分自身が生きていることを肯定できるようになっていきます。否定や制止は子どもの心に我慢を強い、不安や不信、自信のない思いを積み重ねていくこととなります。私が毎日読み返す本(児童精神科医佐々木正美のことばの森)には、毎日子どもたちと向き合う時に必要な言葉がちりばめられています。「子育てにつかれたとき」ちらちらとページをめくるだけで、心が落ち着き、そして子どもたちに向き合う力をもらえます。ぜひ一読をお勧めします。
佐々木正美先生のことば
【子どもの甘えをしっかり受け止めるから、子どもも親の要求を受け入れるようになるのです。「子どもを甘えさせると、親のいうことを聞かなくなる」。そう考える親御さんは、本当に多いですね。でも、逆です。うんと甘えさせてやる。つまり、子どもの甘えをしっかり受け止めるから、子どもも親の要求を受け入れるようになるのです。とくに、幼少期に子どもの思いを満たしてやることは大切で、そのぶん成長したときに聞く耳を持ち、社会のルールを自然に受け入れられるようになります。人は、自分の要求を受け入れてもらってからでしか、他を受容できない生き物なのかもしれませんね。甘えを受け止めるのは母親がベストですが、難しい状況であれば、父親や祖父母など、ほかの大人であってもかまいません。子どもは、その発達過程において、自分の全存在を受容される経験が不可欠なのです。
【親の孤独が、子どもへの過剰な期待、過剰な干渉、体罰につながってしまうことが少なくありません。】
大治の事件(中学生の娘に母親が差され死亡した)は、今の世相を映し出している悲惨な結果だと感じました。児相に一時保護された経験もあった少女の家庭に何が起こっていたのでしょうか?こども2人を一人で育てていたお母さんは、心に孤独を抱えていたのではないでしょうか。孤独は孤立となり、その悩み、うっぷんは身内の子ども、家族に向けられてしまう傾向にあります。子どもを胎内に宿した瞬間から、母親は「コドク」であってはならないと思います。孤立しやすい社会の中で、変化に気付ける人間同士でありたいものです。暴力、憎悪が他者に向いてしまうような世の中であってはなりません。自らの身近を見まわし、誰にも知られない小さな一歩でもよいのです。踏み出すことが大切です。
幼い時はたくさんの大人に出会い、いっぱい、いっぱいかわいがってもらわなければなりません。自分自身が笑顔で迎えられ、抱っこされ、褒められることで、子どもたちは自分自身が生きていることを肯定できるようになっていきます。否定や制止は子どもの心に我慢を強い、不安や不信、自信のない思いを積み重ねていくこととなります。私が毎日読み返す本(児童精神科医佐々木正美のことばの森)には、毎日子どもたちと向き合う時に必要な言葉がちりばめられています。「子育てにつかれたとき」ちらちらとページをめくるだけで、心が落ち着き、そして子どもたちに向き合う力をもらえます。ぜひ一読をお勧めします。
佐々木正美先生のことば
【子どもの甘えをしっかり受け止めるから、子どもも親の要求を受け入れるようになるのです。「子どもを甘えさせると、親のいうことを聞かなくなる」。そう考える親御さんは、本当に多いですね。でも、逆です。うんと甘えさせてやる。つまり、子どもの甘えをしっかり受け止めるから、子どもも親の要求を受け入れるようになるのです。とくに、幼少期に子どもの思いを満たしてやることは大切で、そのぶん成長したときに聞く耳を持ち、社会のルールを自然に受け入れられるようになります。人は、自分の要求を受け入れてもらってからでしか、他を受容できない生き物なのかもしれませんね。甘えを受け止めるのは母親がベストですが、難しい状況であれば、父親や祖父母など、ほかの大人であってもかまいません。子どもは、その発達過程において、自分の全存在を受容される経験が不可欠なのです。
【親の孤独が、子どもへの過剰な期待、過剰な干渉、体罰につながってしまうことが少なくありません。】
大治の事件(中学生の娘に母親が差され死亡した)は、今の世相を映し出している悲惨な結果だと感じました。児相に一時保護された経験もあった少女の家庭に何が起こっていたのでしょうか?こども2人を一人で育てていたお母さんは、心に孤独を抱えていたのではないでしょうか。孤独は孤立となり、その悩み、うっぷんは身内の子ども、家族に向けられてしまう傾向にあります。子どもを胎内に宿した瞬間から、母親は「コドク」であってはならないと思います。孤立しやすい社会の中で、変化に気付ける人間同士でありたいものです。暴力、憎悪が他者に向いてしまうような世の中であってはなりません。自らの身近を見まわし、誰にも知られない小さな一歩でもよいのです。踏み出すことが大切です。
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自分を守る本能
2023.09.05
わたしは たかいところを ねらうの
なんだかたくましく、頼もしくなってきた○○組さん。何でも自分で挑戦する意欲と力が育ってきました。安心できる人、同じ遊びをする仲間、物、環境は、毎日その場所にあり、変わらず存在していること、いつも優しい笑顔と丁寧な言葉がけがあることで心の中に形作られていきます。そんな経験をたくさん重ねていくと、どれかが安心できれば(例えば慣れ親しんでいる保育園の環境に、知らない大人や子どもが遊びに来ても、さほど緊張感は湧いてきません。)感情が大きく乱れることがなくなってきます。子どもたちは無防備であるため、「知っている、知らない」が即恐怖から泣くという感情表現に直結していきます。でなければ命の危険にさらされる可能性が高くなるでしょう。
個々によって「安心」が得られるまでの期間は異なっています。体の発達とは異なり、心は備えられている防御システムを自らが解き放ち、自信をもって前に進んでいけるようになるまで待たなければなりません。月年齢が低いほどこの直観的防衛能力は敏感です。「危ない」、「怪しい」、「恐ろしい」等のネガティブな感情も、人が生きていくうえで必要なのです。ただし絶大な安心を持てる対象(父母)がそばに存在することで、その対象が笑顔で話していれば安心し、怒っていれば緊張するように、信頼できる他者との関係性を基に、発達につれ能力として自己に備えていくのだと思います。
年齢相応に「見る、聴く、嗅ぐ、触れる、味わう」を増やしていき、世の中の様々な事象に触れていくことが、心身ともにたくましく、好奇心にあふれた心、たくさんの仲間を持ち豊かな生活を送れる環境を呼び込んでいくと思います。
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