お知らせ

クマ手を通じてできること「心の養護と教育」

2023.07.19


自分の背の高さの倍ほどあるクマ手 おまけに 先はすぐ草に引っかかる 扱いにくい道具

ともだちもやりたい ぼくもやりたい こんな場面に出くわしていきます

おはようございます。今日は曇り?午前中は気温も低めで午後は雨空模様 ちょっと一息できると良いのですが‥‥
先週の朝、草刈りの枯葉をクマ手で集めていると、目ざとく私と道具を見つけたなのはな組の子どもたちが、一人また一人と集まってきました。時々この作業を子どもたちの前で「わざわざ」行います。園庭で子どもたちが遊んでいれば、必ずやってくることはわかっています。見たことがない道具、やったことがない事は、彼らにとってすべて好奇心の対象となるからです。子どもが持つには長い柄、クマ手の先は針金でできているため、多少の危うさはあります。ですが、私は危険には配慮しながらやりたいことをやらせます。扱ってみなければ何も学べないからです。引きずったり、草に引っ掛かりうまく草を集めることはできませんが、この経験が道具をうまく操作する力や試行錯誤する頭脳を育てます。
また、4人もの子どもが集まれば順番を待たなければなりません。どのように1本のクマ手に関わっていくかは、大人にも配慮と知恵が必要なのです。相手は自己中心的世界から「誰かと繋がりたいな」と葛藤し、自分だけの世界から抜け出そうと、もがき始めている子どもたちです。「10数えたら変わろうね」、「○○さんは○○さんの次の次、3番目ね!」と言葉(数)を伝え、一緒に大きな声で数えながら待ちます。もしこの簡単なルールからはみ出しそうになったら、「10数えたら終わりだね」、「次は○○さんだね」などと気付ける言葉を何度も丁寧にかけていきます。月齢が高くなってきた子どもたちは、ほとんどこの簡単なルールを守ってクマ手を扱うことができました。何回も何回も行う子もいます。ですが、異なる場面で同じようにうまくいくかと言えば、そうでもないのがこの発達段階の特徴であることは忘れてはなりません。
「これは大人の仕事」と決めつけてはいけないと思います。クマ手1本で養護的配慮(心の安心・体の安全・気持ちや健康の安定)と教育的効果(決まりを守る・友だちを傷つけない・物を大切にする)を作り出すことは可能なのです。今はなぜ草刈りが必要か(蚊の発生を防ぐ、段差や石ころを見やすくする、同時に適度に残すことで昆虫と共生する)などということは理解する必要はありません。自然、道具を通じ、「やってみたい」と思う意欲を育て(自己実現)、大人、子どもの心のつながり(人間関係)を学ぶ(教育)ことが大切なのです。あるがままの自然に触れることはそれだけで学びですが、そこに「人」が介在することで、人間として生きていくための「繋がり」を学ぶ環境を創り出していかなければならないと常日頃から思っています。行ってらっしゃい。

カテゴリ:教える・伝える

差別への戒め

2023.07.18


宮澤賢治「よだかの星」
よだかは、実にみにくい鳥です。顔は、ところどころ、味噌みそをつけたようにまだらで、くちばしは、ひらたくて、耳までさけています。足は、まるでよぼよぼで、一間いっけんとも歩けません。ほかの鳥は、もう、よだかの顔を見ただけでも、いやになってしまうという工合ぐあいでした。たとえば、ひばりも、あまり美しい鳥ではありませんが、よだかよりは、ずっと上だと思っていましたので、夕方など、よだかにあうと、さもさもいやそうに、しんねりと目をつぶりながら、首をそっ方ぽへ向けるのでした。・・・・・・

第三十三候「鷹乃学習 (たかすなわちわざをならう)」 7/17~7/21頃
おはようございます。猛暑が続きます。最高気温が38度!地球温暖化もとうとうこまで来てしまいました。
【七十二候が小暑の末候に変わり、鷹のヒナが巣立ちの準備をする頃となりました5~6月に孵化したヒナは、この頃に飛び方や狩りの方法を覚え、独り立ちに備えます。鷹は、飛翔力が優れており、空中を自由自在に飛び回ることができますが、獲物を捕まえる時のスピードは、最高で時速80キロにも達すると言われています。また、「能ある鷹は爪を隠す」「鳶が鷹を生む」などの諺が言い表すように、知能指数が高いことでも知られています。鷹狩りに用いられるなど、猛禽類の中では昔から人に身近な存在でした。鷹を巧みに扱い狩りを行う「鷹狩り」は、紀元前およそ一千年前から、中国やインドで行われていたそうです。そして、鷹を操る「鷹匠」は、古事記にも登場するほどの長い歴史を持っています。】
鷹を使った狩りは古来より行われています。その姿、数百メートル上空から獲物を狙い、すばっしっこいウサギ、ネズミも捉えてしまう急襲の狩りは、圧倒される迫力がありますね。ソフトバンクホークス、楽天イーグル(鷲)スなどプロ野球のチーム名にも採用されるほど勇ましさの象徴でもあります。一方夜鷹(ヨタカ)という鳥をご存じでしょうか。名前に鷹はついていますが、この鳥は保護色で灰色や黒の多い、目立たない姿です。食事も昆虫が主食で夜行性、宮澤賢治の童話でも同じ仲間の鳥たちからも差別される鳥として、しかし「よだかの星」という悲しくも気高い心を持った生き物として扱われています。差別、区別は優越感から生まれる心です。人間は心に嫉妬や羨望、憎しみ、怒りという醜い感情を必ず持っています。そんな負の心を自分自身で戒め、言葉や行動で決して表さないように心がけていく必要があります。本当の醜さとは見た目や着飾った外見に翻弄され、心を磨こうとしない人間の心に住まうのです。日々気を付けなければいつの間にか支配されてしまうかもしれません。気を付けるべきです。行ってらっしゃい。


夕刻

今日は朝7時から30度を変える気温のため、室内遊びで過ごしています。湿気も多く、子どもの身長では屋外でまともに輻射熱(地面からの熱)を受けるため、ほぼ頭の先まで高温となってしまいます。本園の園庭で地面と周りに緑があるとは言え、今日のリスクはあまりにも大きすぎます。明日からは最高気温が今日から3,4度下がる見込みですので、外へ出られる時もあると思います。
さて、子どもたちの室内環境設定は、普段何に興味を持っているのかを、よく観察していればわかります。今日は「タイヤ(車輪)」がそのヒントとなりました。必ずと言っていいほど、丸い、黒いはタイヤ(車輪)を連想します。そこでガムテープに線路を書いて、遊びが発展していくように導いています。黒が目立つ黄色のガムテープに道路や線路を書くことは、木製あるいはプラ製レールのようにリアルではありません。だからこそ子どもたちのイメージは大きく膨らみます。写真でも分かりますように、子どもたちはタイヤ(車輪)だけで、自分のイメージを見立てる力を持っています。タイヤの上にはどんな車体が乗っているのでしょうか?心は遙か遠くに行っているのでしょうか?
そんな豊かなイメージを膨らませ、環境を用意していくことも、大人の大切な役割だと思います。外で思い切り体を動かすことが叶わない時は、室内にある素材を子どもたちがどのように見立てるかを予測し、より豊かな遊びが展開され、自己の想いを遂げ、なおかつ仲間や先生とのつながりが豊かになっていくように配慮したいものです。そのことを思うとやはり自然環境の豊かさが子どもたちに与える影響は、果てしなく大きいものと感じざるを得ません。

カテゴリ:教える・伝える

絵本の力 言葉の力

2023.07.14

不安な時代を生きる 子ども おとなへ おまじないのことばのプレゼントを!
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おはようございます。今日明日は曇り空で気温も高いようです。熱中症に気を付けながら、子どもたちと元気に過ごしていきます。
さて、今日は最近読んだ絵本を紹介します。保育園で情報誌「絵本フォーラム(年6回 2070円)」という新聞を年間購読しています。NPO法人「絵本で子育て」センターが発行している読み物です。八ヶ岳の絵本美術館に行ったとき出会うことができました。内容は年齢に合った絵本の紹介、育児に疲れた時、絵本に助けられた経験談、現在進行形の育児の悩み等、まさに保護者の皆様、保育者が読むに値する情報誌と言えます。園で保管していますので興味のある方はぜひお申し付けください。
今回は132号で紹介のあった「つるかめ つるかめ」を紹介します。ご存じの方もおいでかと思いますが、この言葉は「となえ言葉」です。「くわばら くわばら」、「いたい いたいの とんでけー」など、子どものころ親や大人から暖かな眼差しと共に、慰められた経験をお持ちの方もいらっしゃると思います。筆者のお母さんは、育児で行き詰った時、よく涙を流しながらこの絵本を読み元気をもらったそうです。絵本は子どもに効力あるばかりではありません。読み聞かせる大人自身、そして子どもと一緒に目を通し読むことでも心は穏やかになったり、ワクワクと楽しい気分になることもできるのです。
私は養成校勤務時代から、わらべうた(阿部ヤエ・コダーイ)、絵本、遊びについて今も学ばせていただいています。昔からの子育て文化は、育児、保育にとって重要な真実を語っているからこそ残っています。皆様もぜひ「とっつきやすいところ」から触れてみてください。心で感じることができます。嫌なことがあった時「つるかめ つるかめ」、「だいじょうぶ だいじょうぶ」と唱え縁起直しで、負の気持ちを吹き飛ばしましょう。いいですよ!行ってらっしゃい。

カテゴリ:子育て

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