キャンサーギフト
2023.12.25

おはようございます。
【七十二候が冬至の初候に変わり、乃東が芽を出し始める頃となりました。乃東とは、冬に芽を出し夏に枯れる「夏枯草 (かこそう)」の古名で、紫色の花を咲かせる「靫草 (うつぼくさ)」の漢方名でもあります。ウツボグサは、日当たりの良い山野の草地に群生し、夏至の頃に枯れていきますが、この枯れて茶色くなった花穂が「夏枯草」です。夏枯草は、古くから洋の東西を問わず、漢方として用いられてきました。この生薬を煎じて飲めば、利尿・消炎作用があり、煎液は、ねんざ・腫物・浮腫の塗り薬として、また、うがい薬にも用います。英名は、「all-heal = 全てを癒す」。和名は、花の形が矢を入れる「うつぼ」という道具に似ていることから付けられました。今回の候は、夏至の初候「乃東枯(なつかれくさかるる)」と対になっています。】


「キャンサーギフト」という本があります。【北の島・礼文島の冷たい風の中で咲く花々に思いを寄せた写真家の杣田さん。2021年秋に命を終えるまでの間、礼文島に暮らし、ガイドブックや写真集、エッセイ集など12冊もの著作を遺しました。病床で受けたラジオ深夜便のインタビューで語ったのは「死を意識した時に輝く現実がある」という言葉。遺作のフォト短歌集『キャンサーギフト』には、生命に対する力強いメッセージがこめられていました。】
ラジオで初めて知りました。病気(ガン)になることで「天からの贈り物」と受け取ることができる心情を表していらっしゃるそうです。この気持ちにたどり着くまでは、ご自身が言葉では言えないような葛藤を超えた時間があったことを想像します。だからこそ多くの人の心を打つ写真と短歌となっています。私自身現物を読んでませんので多くは語れません。しかしご本人がラジオで語られるお話は、とても感慨深い言葉の数々でした。たとえば「植物は開花しているときが一番輝いています。ですが花が枯れ、葉も茎も枯れやがて腐って土に帰り栄養分となって次世代の力となる。」この言葉一つとっても、人が老いて、病に斃れ、やがて命が尽きても、必ず次世代につながっている、いいえ、つなげなければならない使命感を感じます。いかがでしょうか? 行ってらっしゃい。
カテゴリ:生き方
心が空っぽだからこそ!
2023.12.25

穴や空間があると何かしたくなる!これはどうしようもない人間の本性です。心も本当は空っぽにしておいた方が様々な物が入ってくるのですが、人間は目に見えるものに関してはうまく対応しますが、見えないものは欲得が邪魔をしたり、秤を持ち合わせていないようです。ほどほどとか、丁度よい加減というものを時々飛び越してしまいます。
好奇心旺盛な子どもたちは多くのことをしようとします。しかし物に限りがあれば「これ以上はできない」、「終わりが来た」ということも分かるようになっていきます。ひもの本数、穴に通せるひもの長さ、手と腕を使って持てるボールの限度、高くのぼれば不安だが気持ちよいこと、様々な挑戦を行い自分の心と体を調整する、限度を知るなどを認知していきます。ケガと紙一重という状況で失敗することもありますが、次回は新しい知恵をもって臨むことでしょう。
大人は周りでドキドキハラハラさせられながら、子どもの挑戦を見守っていくのです。いつの日か大人の見守りが必要なくなる時がやってきます。それまでは知恵と挑戦を大いに具体的に褒め讃え、本人の「やる気」を引き出し支える必要があります。子どもたちは素敵なアイディアで物品の性質を見抜いた目的外使用と、素材の性質をうまく組み合わせた様々な遊びを見つけ出します。そんなおもしろさにぜひとも気付いてください!その指摘が的を得たとき、子どもたちは「ニンマリ」とします。心は踊り「もっともっと」と考えを広げて遊ぶようになることでしょう。
子どもたちのすばらしさは、生きようとする強さにあります。手がかかることは事実です。ですが「子ども」というよりは「小さな人」として捉えてあげてください。やることは未熟でも大人よりも意欲的で力強く生きていることが多いと思います。半面心と体は機能的には脆さも抱えています。この心がねじ曲がることのないように、「小さな人」として人権を保障していくことが、立派な大人に育っていく大きな秘訣です。
カテゴリ:卒園生・転園生の皆さんへ!
良寛(21世紀に生きる)
2023.12.25

おはようございます。
良寛(21世紀に生きる《上・中・下》中日新聞12.24)の連載が終わりました。名主の家に生まれた良寛は、村人たちのもめごとの調停や処罰に関わるうちに、「この世は救いのない人間がいる哀れな世界」と感じ、突如出家、後に乞食僧となり諸国をめぐりました。子どもが仏に近い存在であると考え、「かくれんぼ」、「手毬つき」などを共に興じたことで知られています。
最終回、和歌で「いかなるが 苦しきものと 問ふならば 人を隔てる 心と答へよ」と良寛の思いが述べられています。21世紀は競争、敵対社会が限界に達し、共生、共助を意識しなければ、人間が不幸になることを示唆しているようです。時代を経ても人間の欲得は限りがありません。しかしどの時代においても、人間が真に大切にすべきことを見つめ生きた人がいます。【家族や友人を大切にする気持ちを広げて世の中の人を分け隔てせず、周囲の人との良い絆を優先して、悲しみも喜びも共有して生きる。】
今日はクリスマス。古くは江戸時代に教義として日本にやってきた隣人を思う心の原点を、現代に生きる人々がどのように次世代に伝えていくのかは「大切な心を継承していくか」、「ただ浮かれたお祭り騒ぎで終わらせるのか」華やかな瞬間にも大きな分かれ道なのではないかと常々考えます。私たち大人にささやかでも小さな「幸せの種」があれば、子どもたちはきっと健やかな人生を歩んでいくことでしょう。行ってらっしゃい。
カテゴリ:生き方