お知らせ

異年齢保育の意義

2024.02.09


異年齢保育 パート1
自分の居場所は年齢と共に好みが出てきます。お外がいい子、部屋の方がいい子、静か、にぎやか、広い、狭いなど時と場合によっても左右される居場所感覚が誰にでもあります。その自分が一番しっくりくる場所こそ安心なテリトリーとして定着すれば、心がどうしようもない時は逃げ場としても使うことができるでしょう。これから長い人生を歩んでいく子どもたちは、安心して過ごせる人と場所を身体と心の置き場所として確保しておく必要があります。

異年齢保育や合同保育の利点は、このように多世代で過ごすこと、環境を変えることで「心がホッとする」場所の発見にもつながるという可能性があることです。自分より小さい子がいれば、競争意識や争奪などの気ぜわしさや混乱から遠去かることができます。心や体はちょっとした変化に敏感でもあります。たしかに0歳児の部屋は他の保育室から離れており、2階の明るくて暖かくて、しかも静かな環境です。何かに集中したいときはもってこいの環境だと思います。

子どもは閉鎖的環境が必要な時もあります。「コーナー保育」といった、仕切りなどをすることで集中できる環境を作るのです。しかし子どもたちは「すきまも大好き」です。頭が入れば顔、体を突っ込みたくなり、穴があれば入り、もぐりこんだりします。結果抜けられなくなったり、ひどい時は窒息の危険さえ招きます。置き去り等の原因にもなります。これは安全に対する大きなリスクと言えます。ですから保育園では徹底的に危険な「すきま」、「死角」をなくす努力をします。人の対応は「絶体」という文字は当てはまりません。よって命を守るため危険のない環境を用意し、発達を促すため子どもの冒険心も満たすような環境作りを目指さなければなりません。





異年齢保育 パート2
つくし組にプチ留学はやっぱり一人では物足りなさを感じるようですね。普段の仲間がひとり、それもなんとなくペースや指向があう友の存在は、いっそう楽しさを増します。幼いころでも相性はあります。思う存分自分のペースで遊びを分かち合えることは、遊び心も輪をかけて広がっていきます。

一方つくし組の子どもたちにとっては普段でも三人、と少人数のため「おねーさん」のクラス加入はとても大きな刺激です。保育室という限られた空間でおねーさんたちが展開するあそびは、きっと「やってみたい」ことだらけだと思います。また、他のクラスがいない状態の園庭は小さな子どもたちにとっては、トラブル、ぶつかる心配がないため安全であると言えます。反面刺激が少なく本人にとって物足りなさも感じることでしょう。子どもたちにとっての環境は発達をよく考えた環境構成とすることが必要になってきます。

「つかまり立ち」、「伝い歩き」、「慣れない二足歩行」を始めたばかりの子は、「慎重」、「大胆」、「怖がり」、「怖いもの知らず」等様々な性格と発達、そして集団環境を考えなければなりません。これらの環境が配置人数を超えると判断できる場合は、遊びがどれだけ盛り上がっていても潔く撤退が原則です。安全第一、次に子どもの発達を促す遊びこみが順序となります。

築山に登る子にどのようなフォロー体制(転落してもつかめる、お尻を支える、安心して見ていられる)で臨むかは、上記の通り個々の発達と性格、周りの状況を把握しての判断となります。ボールを扱っている子に対しても、この大きさのボールだから安心して見ていられますが、大きいボールの場合、多くのケースでは立位となり、両手を上部に添えているとボールの回転で頭から身体ごと反対の地面に回転する危険も起きます。子どもの身体は柔らかいですので余程でなければ大きなケガに結びつくことはありませんが、周りに椅子や硬いものがないかを確認しておくと同時に、回転しそうであれば手を差し伸べなければなりません。「楽しさとケガ」は紙一重です。

以上のように異年齢保育であっても、人が変わればいつもと同じような心で子どもたちは遊んでいるわけではないのです。本人にとって良い発達を引き出すこともあれば、ウキウキしすぎたり、自分の力の限界を超えようとするなど、ケガの危険が発生する場合もあります。物事に裏表があるように、調子のよい時、平時こそ、私たちも気を緩めることができません。それでも事故やトラブルは起こり得ます。それが集団の場です。

カテゴリ:発達

音と言葉

2024.01.30

山極寿一 著書
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おはようございます。
JR京都線高槻から徒歩10分の所に「JT生命誌研究館」があります。地球が生まれてから生命誕生までの歴史や不思議を分かりやすい展示で説明しています。私も1度立ち寄ったことがあります。【「生命誌」とは、人間も含めてのさまざまな生きものたちの「生きている」様子を見つめ、そこから「どう生きるか」を探す新しい知です。英語では“Biohistory”。地球上の生きものたちは38億年前の海に存在した細胞を祖先とし、時間をかけて進化し、多様化してきた仲間です。すべての生きものが細胞の中に、それぞれが38億年をどのように生きてきたかの歴史をしるすゲノムDNAを持っています。ゲノムDNAは壮大な生命の歴史アーカイブです。その歴史物語を読み解き、美しく表現することで、生きものの魅力を皆で分かち合い、生きることについて考えていく場が「研究館」“Research Hall”です。いのちを大切にする社会づくりに努める仲間になってください。】
HPに研究館の詳細、季刊生命誌の内容が掲載されています。その中の山極寿一さんの講演内容「人類の飛躍と没落―共感社会と言葉のもたらした世界」をぜひお読みください。氏は霊長類の研究者で「京大総長、ゴリラから生き方を学ぶ (朝日文庫)」など分かりやすい著書もたくさんあり、子育てについても大変興味深い内容となっています。季刊誌も無料で送ってもらえますので興味のある方はどうぞ。行ってらっしゃい。

カテゴリ:生き物・自然・人間

土の大切さ

2024.01.30

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おはようございます。
中日新聞日曜版(1.28)では土の大切さを「食を支える土」として紹介しています。人間の体内にも微生物は数億生きていますが、土の中はその数をはるかに超えています(100億個1万種類)。土がなければ野菜は栄養を採って育つことができません。人間や動物(牛、豚、鶏)は直接土から栄養補給できませんので野菜は必需品です。このことをしっかりと理解していくことが人類存続のカギとなります。
ところが太古の地球にも土は存在していませんでした(火山島、月や火星にも)。様々な植物や昆虫が生きるようになって初めて土を耕し誕生しました。生き物は共生関係にあります。なかでも「ミミズ」は枯葉、土を食べ自らの糞で土に隙間を作り微生物、植物の育ちを支えています。土が通気性を保つことは植物が伸ばす根に十分な空気と水分を行きわたらせます。普段よく見かける生き物(ダンゴムシ・ムカデ・きのこ・微生物)こそ人間を支える縁の下の力持ちなのです。科学が進んだ現代でも土から取り出した微生物で生き続けられるものは1%に過ぎないそうです。当たり前に存在する土、生きものの存在は人間生活を支えているのです。嫌悪する生き物にも役割があります。【日進市周辺の東部丘陵や東郷町の愛知池などで定期的に散策や調査をしている市民団体「日進岩藤川自然観察会」が今月、両市町で見つけたガをカラー写真付きで紹介する冊子「みぢかにいる蛾(ガ)」を発行した。収録したガは494種類に上る。代表の鬼頭弘さん(71)は「ガは嫌われることが多いが、実は生態系を支えている」と力を込める。ガは生態系の食物連鎖の中で、植物を食物とする1次消費者で、ほかの昆虫や両生類、爬虫(はちゅう)類、鳥類などに食べられることで、生きものたちの食を支えている。ガの数や種類が多いほど、その地域にさまざまな植物が存在し、多様な生きものが生存できる環境であることを示すという。】行ってらっしゃい。

カテゴリ:生き物・自然・人間

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